東京証券取引所が20日発表した4月第2週(10~14日)の投資部門別売買動向で、海外投資家は現物株を1兆494億円買い越した。その前の週は6796億円の買い越しだった。これで買い越しは3週連続だ。海外投資家の買いに支えられて先週の日経平均は堅調に推移した。連騰記録こそ年初来高値の2万8658円で引けた18日までの8日続伸で途絶えたものの、その後も2万8500円近辺での底堅い展開が続いた。21日にはザラ場高値も更新、2万8778円を付けて8ヶ月ぶりの水準を回復した。
買い材料が豊富な日本株相場だが、今週は利益確定売りに押される場面も増えてくるだろう。売り物を吸収して深押しはないと見るが、大型連休を前に重要イベントが目白押しであるため、基本的には大きく動けず、神経質な展開が続きそうだ。
まず植田・日銀新総裁のもとで初となる日銀金融政策決定会合(27~28日)がある。これまでの総裁発言から現状維持の見込みだが、市場では長短金利操作の政策修正観測が根強く残り、会合の結果が判明するまでは様子見機運が支配的になるだろう。様子見姿勢を強めるのは日銀会合だけではない。その先にFOMC(米連邦公開市場委員会)が現地時間5月2~3日に開催される。日本のゴールデンウイークのど真ん中に当たり、しかも今回のFOMCは利上げ停止という大きな意味を持つ会合となる公算が強い。そうしたビッグイベントに対する米国市場の反応を事前に読んでポジションを組む向きは限られるだろう。大方は様子見を決め込むと思われる。
次に重要なイベントは国内3月企業の決算発表が本格化する。国内企業の決算では、24日にニデック(6594)、26日にアドバンテスト(6857)、ファナック(6954)、キヤノン(7751)、野村(8604)、JR東海(9022)、27日に信越化(4063)、第一三共(4568)、日立(6501)、キーエンス(6861)、デンソー(6902)、JR東(9020)、ANA(9202)、28日にコマツ(6301)、NEC(6701)、ソニーG(6758)、レーザーテック(6920)、村田製(6981)、商船三井(9104)などがある。米国ではGAFAMの決算発表がある。アルファベット、マイクロソフトが25日、元フェイスブックのメタ・プラットフォームズが26日、アマゾンが27日だ。GAFAM以外でもGE、GM、ボーイング、キャタピラー、インテル、エクソンモービルなどまさに佳境を迎える。
国内企業の決算については、これまでのところ好悪まちまちではあるものの、株式市場の反応はポジティブなものが多い印象だ。企業が期初に保守的な見通しを出す「ガイダンス・リスク」などは毎年のことなので織り込み済みで、むしろ東証の資本効率改善要請に対するアクションなども期待され、市場では好反応が増えそうだ。全般には動きにくい展開ながらも好地合いが続くだろう。
予想レンジは2万8200円~2万9000円とアップサイドの方を多く見る。