イラクの邦人人質事件、金曜日にもつぶやいた通り3名の無事を祈るのみですが、この数日間の本件に関連する世論の状態については、中々考えさせられる点があります。
最も注目すべきことは、インターネット上に於いて本件に対する多数意見が作られる過程とスピード、その内容と、新聞・テレビなどの公共のメディアに於いてのそれとの間の大きなギャップです。これが同じ国かと疑わずにはいられないほど、この2大メディア(インターネットと新聞・テレビ)での情報・論調・多数意見には違いがあります。
私は敢えてどちらの内容を支持するかはコメント致しません。重要なのは、その内容ではなく、これだけ国全体の注目を集め、もしかすると我が国の将来に影響を与えかねない事件に関して、充分、オープンに、言質を取られずに、自由に、公の場で議論がされているかということです。日本はどうも、どうでもいいことは公共の場で、喧々諤々と議論がされるのに、本当に大切なことは、表では議論されないという、とても不思議な、或る意味ではとても危険な文化を内包している気がします。複雑な問題ですが、この問題を解決していかないと、言論先進国にはなれないのではないでしょうか。
(ところで、フセイン捕獲の時と同様、今朝も新聞休刊日であり、実際に一般紙が発行されていないことに大きな驚きと、怒りと、落胆の混ざった複雑な感情を持っています。言論二流国と言われてもしょうがないでしょう。新聞休刊日の撤廃、少なくとも新聞休刊日に関する私企業の判断を尊重する体制の樹立を切に願います。)
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。