東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は、3日ぶり反落となりました。朝方にトランプ次期大統領が自身のSNSにて中国からのほぼ全ての輸入品に対して追加で10%の関税をかけると表明したことでリスク回避の売りが優勢となりました。寄付きは183円安の38,596円で取引を開始した日経平均は、リスク回避姿勢から軟調に推移し、10時過ぎに760円安となる38,020円をつけ、本日の安値を更新しました。安値をつけて以降は押し目買いが入り下げ幅を縮小、前場は519円安の38,260円で取引を終えました。
後場は一進一退で小動きとなるも引けにかけて下げ幅を縮小する展開となり、最終的には338円安の38,442円で取引を終えました。
新興市場では、東証グロース250指数が反落、0.4%安となりました。
2.個別銘柄等
ファーストリテイリング(9983)が1.4%高と堅調に推移し、3日続伸となりました。また花王(4452)が4.1%高の6,562円をつけ、日経平均構成銘柄における上昇上位となりました。この2銘柄で日経平均を約72円押し上げる結果となりました。
リスクオフとなったことから半導体関連が軒並み下落しました。東京エレクトロン(8035)が2.1%安、アドバンテスト(6857)が4.3%安、SUMCO(3436)に至っては5.3%安で年初来安値を更新し取引を終えました。また、レーザーテック(6920)は、投資判断と目標株価の引き下げも寄与し年初来安値を更新する一時6.2%安となりました。また、生成AI向けに通信ケーブル需要が拡大しているフジクラ(5803)は6.8%安となり、大幅続落となりました。
三菱商事(8058)が2.7%安の2,566円をつけ続落となりました。利益水準の低下が指摘され、投資判断と目標株価の引き下げが売り材料となりました。
キユーピー(2809)が6.7%安で5日ぶり反落となりました。2025年度~2028年度の中期経営計画を発表し、段階的な株主還元の拡大等を目標とするも、目標ROE(自己資本利益率)の水準が物足りないといった評価も散見され、大幅反落となりました。
しまむら(8227)は一時3.8%上昇し、3日続伸となりました。25日に11月度売上速報を発表し既存店売上高が前年同月比4.7%増の売上となり、前月10月のマイナス転換からの回復が投資家の安心感を誘い、続伸に寄与しました。
その他の銘柄では、リコー(7752)が今期の最終利益を上方修正したことで2.2%高、HIS(9603)が子会社による新型コロナウイルス雇用調整助成金の不正受給の疑いから決算発表を延期とし、株価もネガティブな反応を見せ、6.1%安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は、トランプ次期大統領の発言を契機にリスクオフ姿勢が強まる1日となりました。隣国のメキシコやカナダに対しても25%の関税をかけるといった方針も示され、主に米国向けにそれらの隣国で生産をする自動車産業に逆風となり、就任前であっても引き続きその発言によって左右されることが示されました。
明日にむけて今晩の米国市場にて日本同様にリスクオフ姿勢となるかに注目です。経済指標では、米国の住宅価格を示すS&Pケースシラー住宅価格指数が発表予定です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)