果たしてアメリカ大統領選はトランプ前大統領(以下、敬称略)が勝ちました。一部マスメディアは大接戦になると直前まで報道していましたが、アメリカの選挙に特化したメディアではトランプ優勢が報告されていましたし、賭けマーケットでは圧倒的にトランプが優勢でしたから、トランプが勝つことは容易に予想出来ました。ところが、いざ開票が始まり、トランプの優勢が伝えられると、日本株は大きく上昇しました。アメリカの長期金利が上昇し、円安にもなりました。これらは皆、トランプが勝てばそうなると予想されていたことです。これは興味深い反応です。
そして更に興味深いのは、大統領選翌日のアメリカ市場でも、米株式がとても大きく上昇したことです。これらの現象は何を表しているでしょうか?客観的に誰が優勢かを予め観察し、それに合ったポジションにしておけばこのような大きな動きは出なかった筈です。自らの政治的ポジションや信条、候補者に対する好き嫌いから、客観的な情勢判断に対して自らのバイアスを掛け、自らの思いや願いを優先したポジションになっていたので、そしてそういう投資家・トレーダーが多かったので、実際の選挙結果が出て来て、ポジションの解消やショートカバーが発生し、あのような大きな動きになったのでしょう。
まさに行動心理学=ノーベル経済学賞を取ったプロスペクト理論の示唆する通りです。世の中で最も経済客観的な行動を取ると思われているトレーダーさえも、7~8割は感情によって行動が大きく影響を受ける。そしてこのことは、「政治」という最も個人従属的で、あたかも甘党か辛党かとか、酒飲みかそうじゃないかとかに似た相容れないテーマに於いて、特に強くその現象が発生したのだと思います。いやー、マーケットは面白いなぁ。そして感情をなくす、或いはコントロールすることが出来ると、大きなトクが得られることが分かりますね!