今朝新聞を読んでいて、やはり昨日発表のGDPのことがとても気になりました。実質GDPだけでなく、名目GDPもかなりの高成長をしたにも拘わらず、株式市場は材料出尽くし感から若干売られる。一方、デフレーターが更に拡大していることから、債券は反発し金利は低下した。どうも解せません。名目GDPの変化率がプラスの時に、株が売られたことがあるでしょうか?流石に今日は反発しましたが、では今後は株価も債券価格も同時に上昇していくのでしょうか?全て資産の価格は、短期的には「レベル感」で上下できますが、中・長期的には実際にお金が動いて流入先の価格が上昇し、流出元の価格が下降するものです。最終的には株と債券はシーソーのように動かざるを得ないでしょう。その筈です。しかしフローの物価が下がり、一方で資産インフレが起きることはいいことです。政策として、そのような動きを止める必要はないでしょう。そう考えると金利は引き上げられないかも知れません。従って、物価は下がり、株価は上がり、金利も上がらない、という夢のような状況が続くかも・・・・。いや、そんなことはないですね。循環のない不景気だと思われていたのが、遂に明るさが差してきたように、金利もいつかは必ず上がるでしょう。そしてその時は早い者勝ちで債券は売られることになるでしょう。これらの錯綜する絵図に対して、高みの見物を決め込むも良し、中に飛び込むも良し、マーケットは楽しいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。