遠近感のことは今までに何度もつぶやいてきましたが、最近またあることを思いました。枯山水などの庭園がありますが、あれは座って見るのと、立って見るのとで、印象が全然違います。あのような庭園は、狭い場所の中に遠近感を使って大きな空間を表現している訳ですが、その遠近感はあくまでも見る人の視点を基準に考えて創られているので、視点を変えると全ての構想が破綻してしまいます。借景も同様で、予め予定された視点から見ないと、全然風景を借りて来られなくなります。枯山水を反対から見たことはありませんが、恐らく全くイメージも違い、体をなさないでしょう。ビジネスも一緒でしょうか。サービスを提供する立場とお客様とでは、同じサービスであっても捉え方が全く違うかも知れません。意識してお客様の視点に立たないといけないと、そう思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。