今日は新月です。太陽と同じ頃に東の空に出て、太陽と同じ頃に西の空に沈みますが、そもそも新月ですから目で確認することは不可能です。新月ということは月齢ゼロ、旧暦の6月末かと思いきや、旧暦7月1日でした。6月末だと古今集に、(六月のつごもりの日よめる)「夏と秋と行きかふ空のかよひぢはかたへすずしき風や吹くらむ」という凡河内躬恒の歌があります。夏が往き秋が来る空の道では、片側(秋側)には涼しい風が吹いているだろう、という意味ですが、今年は夏が往くので涼しい風が吹くのではなく、まだ夏が来なくて涼しい風が吹いています。
この涼しさの為に、今年は寿司ネタがいつまで経っても春頃から変わりません。本来今頃出てくる筈の小さな若いお魚類が、まだ揚がらないのです。と、思っていたら、行きつけのお寿司屋さんから、新子が入った旨の電話がありました。新月の大潮で、ずっと隠れていた奴がようやく現れたのでしょう。今宵はお月様にも見つからず、こっそりと今年の新子に会いに行きますか。