今日は新月です。太陽と同じ頃に東の空に出て、太陽と同じ頃に西の空に沈みますが、そもそも新月ですから目で確認することは不可能です。新月ということは月齢ゼロ、旧暦の6月末かと思いきや、旧暦7月1日でした。6月末だと古今集に、(六月のつごもりの日よめる)「夏と秋と行きかふ空のかよひぢはかたへすずしき風や吹くらむ」という凡河内躬恒の歌があります。夏が往き秋が来る空の道では、片側(秋側)には涼しい風が吹いているだろう、という意味ですが、今年は夏が往くので涼しい風が吹くのではなく、まだ夏が来なくて涼しい風が吹いています。
この涼しさの為に、今年は寿司ネタがいつまで経っても春頃から変わりません。本来今頃出てくる筈の小さな若いお魚類が、まだ揚がらないのです。と、思っていたら、行きつけのお寿司屋さんから、新子が入った旨の電話がありました。新月の大潮で、ずっと隠れていた奴がようやく現れたのでしょう。今宵はお月様にも見つからず、こっそりと今年の新子に会いに行きますか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。