世界の各地で、いろいろなものが、いろいろな形でそれぞれ作られています。いわゆる所変われば品変わるというヤツです。キッチンのコンロの形、家の形、テレビの番組の内容、何から何まで、それぞれの形です。世界中どこでも同じ価値観、同じデザインの製品ってあるだろうか、と周りを見回してみると、一つありました。クルマです。例えば世界中にベンツがあり、ベンツが高級なものだと考えられ、ベンツの乗り心地が一つの標準となっています。どうしてクルマに関しては価値観が世界的に統一されたのでしょう?F1レースなどのせいでしょうか?世界的に一堂に会して、世界中が同じものを同時に見る、経験を共有することによって価値観が統一されていったのでしょうか?確かにオリンピックの芸術点のある種目に於いては、自己の解釈よりも、今はどのような演技が高得点かが基準であり、それ以外の価値観を持ち込む選手は少ないでしょう。そう考えると、統一価値観のセッティングにどれだけイニシアティブを持てるかは戦略上極めて重要であるように思われます。ビジネスも国策も同じでしょう。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。