切り下がる価格水準
J-REIT価格は軟調な推移となっている。東証REIT指数は7月下旬には1,900ポイント台を回復する場面もあったが、その後は下落基調が続いている。8月は1,800ポイント台を、9月は1,750ポイント台を挟むレンジとなり9月18日の終値は1,730ポイントとなった。
価格下落要因は、日米の長期金利上昇と考えられる。日銀とFRB(米連邦準備制度理事会)はそれぞれ9月18日と9月16日に利上げを公表した。日米ともに利上げ対象となる金利は短期金利であるが、インフレ圧力が高い状態であり早期の追加利上げの可能性が高く長期金利も上昇している。
日米の10年国債利回りは9月24日以降それぞれ3.0%以上、5.0%以上での推移となっている。年初と比較すると日本10年国債利回りは1.0%程度、米国10年債利回りは0.8%程度上昇している。
特に米国ではFRB議長の交代を控え、3月頃までは利下げの可能性が高い状態であった。利下げを求めるトランプ米大統領がFRB議長を指名するためであったが、イランとの戦闘が長引く中でインフレは沈静化せず、前述の通り利上げを実施する状態となっている。
米国長期金利が4月以降上昇基調となると、外国人投資家によるJ-REIT売りが鮮明になっている。4月から8月までの売り越し額が2500億円を超え、米国が利上げを再開した2022年以降で見ても最大の売り越し額となっている。
米国の長期金利上昇は、外国人投資家の売り越しを招く点を国内機関投資家も把握しているためJ-REIT価格に割安感が生じても買い越しには動けない状況となっている。個人投資家の資金を運用する投資信託が買い越しを続けており、辛うじてJ-REIT価格を支えている状況になっている。
これまで生じてきた制度面での課題
東証REIT指数が1,730ポイントまで下落したため、9月18日のJ-REIT利回りは5.27%まで上昇した。好調な賃貸市場と高騰が続く不動産売買市場を背景に、J-REITの業績は大半の銘柄で順調に推移しているが、投資家の反応は薄い。
例えば三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)(以下、MFLP)は9月17日に2026年7月期の決算内容と当期(2027年1月期)及び次期(2027年7月期)の業績予想を公表し、今後はさらに投資家への利益還元を強化する方針を示した。
具体的には、MFLPは2028年1月期までの中期計画で分配金を2,620円(1口当たり)まで増やす目標を掲げ、1年前倒しの当期に達成する見込みとしている。また投資主還元強化として2028年1月期まで物件入替えに注力する方針を示し、金利上昇などによるコスト増加を超える分配金の成長を目指すとしている。一方で決算公表後も価格は下落を続け、利回りは9月18日に5.15%まで上昇している。
このように業績に価格が反応しない状況は、金利動向に不透明感が漂う中では続くことになりそうだ。特にJ-REIT価格動向を左右する外国人投資家や国内投資家は、長期金利がJ-REIT市場の創設以来、経験したことのない水準まで上昇する中でJ-REIT利回りの乖離幅(イールドスプレッド)の適正水準を探っている段階と考えられる。
一方で個人投資家から見れば、業績面での不安が少ない銘柄を高い利回りで投資できる好機とも言える。次回は具体的な銘柄選びのポイントについて記載する予定である。
