銘柄数と運用資産残高の推移
2026年9月10日、J-REIT市場は創設から25年が経過した。2001年9月10日に日本ビルファンド投資法人(8951)とジャパンリアルエステイト投資法人(8952)の2銘柄が上場して以降、四半世紀が経過したことになる。
銘柄数と運用資産残高の推移は、図表1の通りである。まず銘柄数であるが、市場開設後リーマンショックがあった2008年9月までは、順調に銘柄数が増加した。その後は、スポンサーが破綻した銘柄を中心に、合併によって消滅する銘柄が増えたことで全体の銘柄数は減少傾向となった。
銘柄数が増加に転じたのは2012年6月からであり、2013年に日銀が異次元金融緩和策を実施すると、新規上場の動きが活発化し2019年末には64銘柄まで増加した。その後は減少傾向となっているが、野村不動産マスターファンド投資法人(3462)のように、同一スポンサーの銘柄間での合併が主要因となっている。
一方で運用資産残高は増加傾向が続いている。前述の通り銘柄数の減少は合併が主要因であるため、運用資産残高に影響を与えていない。例外としては2021年11月に上場廃止となったインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(IOJ)だけだ。IOJは、オフィス物件で構成された2000億円を超えるポートフォリオを保有していたが、敵対的TOBを受けスポンサーが対抗TOBを実施し、それが成立したことで上場廃止となった。
用途別に見ると図2の通り、2012年以降に物流施設とホテルの比率が上昇している。2012年以前は、物流系では日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)、ホテル系ではジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)だけであった。物流系はテナント需要の拡大、ホテル系はインバウンドの増加が銘柄数増加につながり、それぞれの比率上昇を牽引した。
これまで生じてきた制度面での課題
J-REIT市場は様々な規制や制度のもとで運営されている。その中でもJ-REIT最大の特徴である法人税が実質的に課税されない根拠となっている租税特別措置法(以下、租特法)の影響は大きい。
一方で租特法がJ-REIT同士の合併を実質的には想定していなかった点が、運用が続く中で課題として露呈してきた。前述の通り、リーマンショック後にJ-REITは合併の動きを進めたが、合併時に生じることが多い「負ののれん」や「のれん」に関する租特法上の規定が実質的には存在していなかった。
具体的には、「負ののれん」が生じた場合、損益計算書上では特別利益として合併差益が計上される。租特法では配当可能利益の90%超を投資家に分配することで法人税が実質的に課税されないため、合併差益を投資家に分配する必要が生じる状態であった。
リーマンショック後にJ-REITの価格が低迷する中で、「負ののれん」が生じる合併が現実味を帯び、この課題が明確になった。この課題は、合併差益を配当可能利益から控除する「手当」で解消された。
同様に「のれん」が生じる合併の場合は、のれん償却費が課題となった。のれん償却費は租特法上、費用として扱われなかったためである。この課題も2015年度の税制改正で解消され、J-REIT同士の合併における制度面での整備が進んだ。
J-REITを規制する「投資信託及び投資法人に関する法律」という名称が示す通り、投資信託に関する法律に、J-REIT市場の創設に備えて投資法人に対する条文を加えた形になっている。租特法も同様であり、法人格を持たない投資信託がベースになっていることで、J-REIT市場では様々な課題が露呈した25年間であったといえるだろう。
