直近のJ-REIT価格動向
8月のJ-REIT価格はボックス圏での推移となっている。東証REIT指数は7月29日に1,912ポイントと年初来高値まで上昇していたが、その後は下落し8月最初の営業日となる3日には1,818ポイントとなった。その後は1,800ポイントを挟む値動きとなっている。
米国10年債利回りは4.6%から4.8%、日本10年国債利回りは2.8%から2.9%で高止まりし、さらに米国と日本は9月に利上げを行う可能性が高くなっている。長期金利の先行きが不透明な中で、投資家はJ-REIT投資の拡大には動きにくい状態だ。
さらに価格が低迷し投資家の需要が低調な中で増資を実施する銘柄が出ているため、投資家はその懸念も抱えていると考えられる。ヘルスケア&メディカル投資法人(以下HCM)は8月19日に5年半ぶりとなる増資を公表した。
HCMの価格は増資公表日の10万3000円から下落し、8月26日時点で9万7600円と5%を超える下落となっている。利回りが6%を超える状態が続くなど、投資家の需要が低い銘柄であったため、増資による需給悪化懸念が価格下落につながっている。
利回りの高い銘柄でこのような増資が散発的に実施されているため、投資家としては利回りだけでなく、銘柄の増資に対する方針を確認する必要がある。
2026年上半期の業績予想動向
8月に6月/12月決算銘柄の実績と予想が公表され、2026年上半期決算時点での業績予想が出揃った。結論から書くと、予想値は前年同期比で当期(2026年下半期)は0.2%(※1)増配、次期(2027年上半期)は1.7%(※2)の減配予想となっている。
次期予想が当期よりも低くなっている要因は、物件売却益が剥落する銘柄が多いためだ。J-REIT市場では、売却益の影響を平準化するために同一物件を複数期で売却することや、売却益の内部留保を行なうなどの手法が採られる。しかし、すべての銘柄がこのような手法を採れるわけではないため、後の期に当たる次期の予想分配金が減配になりやすい。
一方で前回の当欄「【J-REIT】長期金利上昇下でも売買価格の高騰が続く用途とは」でも記載した通り、鑑定価格を大幅に上回る価格で物件を売却できる事例も多く、今後も売却益計上の期待は高い。一方でJ-REIT市場では、売却益などを除外した巡航分配金の成長目標を掲げる銘柄が多くなっている。
ただし長期金利の上昇という「逆風」下で、J-REIT価格が上昇基調に転じるためには、投資家の「手元に入る」分配金の成長目標の方が重要な局面と考えられる。
※1:前年同期比対象可能な56銘柄の中央値、除外した2銘柄はジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)(12月決算銘柄のため)と霞ヶ関リート投資法人(401A)(前年同期は上場間もないため実績値がない)
※2:前年同期比対象可能な56銘柄の中央値、除外した2銘柄はジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)とサンケイリアルエステート投資法人(2972)(前年同期が無配のため)
