3月期決算企業の第3四半期決算発表が本格化しています。決算発表については、東京証券取引所から「期末から45日以内に開示を行うことが適当」とされているため、2月中旬にかけて発表が相次ぐことになります。本稿では、こうした第3四半期決算発表の局面における投資戦略について紹介します。
第3四半期決算で注目すべき2つのポイント
第3四半期決算発表で注目すべきポイントは大きく2つあります。
1つ目は「会社側の第3四半期までの利益実績が好調だったかどうか」。そして2つ目は「会社側が今年度、すなわち2026年3月期通期の利益計画を修正するかどうか」という点です。
まず、①第3四半期までの利益実績が好調であれば、その勢いが評価されやすくなります。特に重要なのは、第3四半期累計の利益が前年同期と比べてどの程度伸びているかという点です。
次に、②通期の利益計画修正についてですが、過去の検証結果からは、単なる上方修正の有無を見るよりも、別の指標に着目した方が銘柄選別の効果が高いことが分かっています。
そこで用いるのが「予想の増益率」です。今期予想の増益率とは、本業の営業利益に着目し、今期(2026年3月期)の予想営業利益が前期(2025年3月期)と比べてどの程度の伸びが見込まれているかを示す指標です。ただし、第3四半期決算は、年間のうち4分の3が経過した時点の決算です。決算発表時点では、年度末まで残り2ヶ月前後となります。次第に来期(2026年度、2027年3月期)の業績見通しに注目が移っていきます。このため、来期予想の営業増益率も、銘柄選別の重要な尺度となります。
今期予想と来期予想、どちらの増益率が効くのか?
今期予想の営業増益率が高い銘柄群が、市場全体を継続的に上回る収益を上げてきた
今期予想の営業増益率と来期予想の営業増益率について、実際に投資尺度としてどの程度有効かを検証しました。
まず、今期予想の営業増益率の有効性を確認します。分析対象となる母集団には、十分な流動性を確保する観点からTOPIX500を採用しました。TOPIX500は、東証上場銘柄の中でも時価総額と流動性がともに高い主要500銘柄で構成される代表的な株価指数であり、実務的な投資分析に適した指数です。
金融業を除くTOPIX500(東証株価指数)の構成銘柄のうち、今期予想の営業増益率が高い順に上位20%の銘柄を抽出しました。これらの銘柄に均等投資した場合のパフォーマンスを算出した結果が、図表1の赤線グラフです。ここでは、選定銘柄群のリターンから対象銘柄全体の平均リターンを差し引いた超過パフォーマンスの累積を示しています。右肩上がりの形状から、今期予想の営業増益率が高い銘柄群が、市場全体を継続的に上回る収益を上げてきたことが確認できます。
注2:母数はTOPIX500構成で営業利益が公表されている銘柄
注3:増益率に用いる営業利益はコンセンサス予想を用いる
注4:毎月末時点で増益率が高い方から20%に該当する銘柄に等金額投資した場合の翌月のリターンを算出して絶対パフォーマンスは2013年1月以降を累積している。超過パフォーマンスは対象となる月の母数全体に等金額投資した場合のリターンを引いた超過分を求めて2013年1月以降累積している
注5:営業利益の予想はアナリストコンセンサスを用いている
出所:QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成
来期の営業増益率が高い銘柄群も市場全体を上回る成果を上げ、来期予想の営業増益率の方が、より安定した上昇傾向を示す
そして、青線グラフは、来期予想の営業増益率が高い銘柄群の超過パフォーマンス(累積)を示したものです。こちらも右肩上がりで推移しており、来期の営業増益率が高い銘柄群が市場全体を上回る成果を上げてきたことが分かります。
次に、今期予想の営業増益率(赤線)と来期予想の営業増益率(青線)を比較すると、来期予想の営業増益率の方が、より安定した上昇傾向を示していることが分かります。これは、株価には今期予想の増益率がすでにある程度織り込まれており、その先の成長がより重視されるためと考えられます。
本決算発表を控える3月にかけて、来期予想の増益率の効果が高まる
なお、今期予想と来期予想の営業増益率の効果には季節性があります。年度前半では来期業績の方向性は見えにくい状況です。このため、3月期決算企業に関しては、第2四半期決算発表が一巡する12月までは、今期予想の増益率の有効性が高くなります。一方、それ以降、本決算発表を控える3月にかけては、来期予想の増益率の効果が高まります。年が変わると、市場の関心が次年度の業績見通しへとシフトしていくためです。
スクリーニングの結果は?任天堂(7974)、サンリオ(8136)など参考15銘柄
以上の考察を踏まえ、以下の条件で銘柄スクリーニングを行います。2月は来期業績がより重視される局面であるため、来期の営業利益増益率については、今期よりも高い10%を基準としています。
・直近の四半期決算の営業利益の前年同月比:10%以上
・今期の営業利益増益率:5%以上
・来期の営業利益増益率:10%以上
具体的には、マネックス証券のウェブサイトで提供されている「銘柄スカウター」の10年スクリーニング機能を活用します。対象は、東証プライム市場に上場する銘柄のうち、時価総額3,000億円以上の企業で、金融業(銀行業、証券・先物、保険、その他金融)を除外し、さらに3月期決算企業に限定します。加えて、業績の安定性を確認するため、以下の条件も設定しました。
・実績ROE:8.00%以上
・実績ROA:3.00%以上
スクリーニング結果は図表2に示しています。ここでは、来期予想の営業利益増益率が高い順に15銘柄を掲載しています。銘柄選別に参考ください。
市場:東証プライム、業種:水産・農林・鉱業・建設・食料品など、時価総額:3,000億円~、 決算期:3月
[詳細条件]
[指標]実績ROE:8.00%~、[指標]実績ROA:3.00%~、
[今期コンセンサス]増益率(営業利益):5.0%~・3人以上、
[来期コンセンサス]増益率(営業利益):10.0%~・3人以上、[四半期]前年同期比(営業利益):10.0%~
出所:マネックス証券ウェブサイト マネックス銘柄スカウター(2026年1月27日時点)
銘柄スクリーニングの条件設定について
実際の銘柄スクリーニングの入力項目は以下の通りとなります(図表3)。ご参考ください。
