今週(12月5日~12月11日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):ストラテジー懸念が重石となり回復基調も上値の重い展開
ビットコインは、12月に入ってから回復基調を見せつつも、ストラテジー[MSTR]を巡る懸念が払拭されず、上値の重い展開が続いた。
ストラテジーがMSCI指数から除外されることで、同社がビットコイン売却を余儀なくされるとの思惑が広がる中、ビットコインは軟調に推移した。トランプ政権が6日に発表した最新の国家安全保障戦略で暗号資産が言及されなかったことも失望材料となり、一時BTC=88,000ドル(約1,372万円)付近まで下落した。
その後、ストラテジーが9月以来となるビットコインの追加購入を発表したことで過度な懸念が後退し、ビットコインは反発した。加えて、米SEC(米証券取引委員会)委員長が講演で2026年に向けて暗号資産規制の進展を示唆したことが制度面の追い風として意識され、BTC=94,000ドル(1,466万円)付近まで急速に回復した。
しかし、これまで強気スタンスを維持していたスタンダード・チャータード銀行がビットコインの将来予想価格を大幅に引き下げたことが市場心理を冷やし、上値追いの動きは鈍化した。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では3会合連続の利下げが決定され、米国株は上昇したものの、ビットコインはかえって下落した。同日、ストラテジーがMSCI指数除外に対する反対意見を提出したことが再び市場の警戒感を呼び、BTC=90,000ドル(約1,404万円)付近まで急落した。
来週(12月12日~12月18日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は米雇用統計・消費者物価指数等の重要イベント集中で上下に振れやすい展開か
来週のビットコインは、主要国で重要経済指標と金融政策イベントが集中することから、様子見姿勢が強まる一方で、発表内容次第では上下に振れやすい展開が予想される。
まず、12月16日の米11月雇用統計が最大の注目材料となる。同統計は米政府閉鎖の影響で公表が遅延しており、市場は労働市場の減速度合いを見極めようとしている。市場予想を下回る弱い内容となれば、利下げ継続観測が一段と強まり、金利低下を通じてビットコインには買い戻しが入りやすい。一方、雇用者数や賃金が強い結果となれば、利下げに打ち止め感が出ることでリスク資産全般の重石となり、ビットコインにも売り圧力が及ぶ可能性がある。
12月18日の米11月消費者物価指数と19日の米11月個人消費支出も相場の方向性を左右する重要指標となる。これらのインフレ指標が鈍化を示せば、利下げ余地拡大への期待が高まることで相場の下支え要因となる。一方、インフレの粘着性が確認されるようであれば、2026年以降の利下げペース鈍化が意識され、ビットコインの売りをさらに強める恐れがある。
さらに、18~19日の日銀金融政策決定会合も市場のボラティリティを高める可能性がある。市場予想通りに利上げが実施されれば、日米金利差縮小を背景に円高が進行し、ドル建てで横ばいでも円建てのビットコイン価格は上値が抑えられるだろう。
その他、ストラテジーの指数除外に対する反対意見を受けてMSCIが追加見解を示す場合には、その内容によって短期的に相場が振れやすい点には注意が必要だ。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=95,000ドル(約1,482万円)、下値はBTC=85,000ドル(約1,326万円)を意識する。
