今週(11月21日~11月27日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米利下げ観測の高まりと複数の好材料により90,000ドル台を回復
ビットコインは、AI半導体関連株の調整リスクとビットコインETFからの資金流出が重なり急落したものの、その後は米利下げ観測の高まりと暗号資産市場を巡る好材料を背景に反発した。
AI関連株がバリュエーション調整の流れから売られると、リスクオフの波はビットコインにも及び、特にブラックロックのIBITを中心にETFから連日まとまった資金流出が発生したことで下落に拍車がかかった。この結果、BTC=81,000ドル(約1,263万円)付近まで急速に値を崩す場面がみられた。
しかし、その後はFRB(米連邦準備制度理事会)当局者のハト派寄りの発言を受けて12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測が強まり、米国株が持ち直すとともにビットコインにも買い戻しが広がった。11月の米消費者信頼感指数が大幅に低下したことで利下げ期待がさらに高まり、市場全体でリスクオンムードが回復した。
この間、米国でリップルやドージコインの現物ETFが相次いで上場したほか、次期FRB議長候補としてハト派かつ暗号資産に理解のあるハセット氏の名前が浮上したことが安心材料となった。また、テキサス州がIBITを通じて州として初めてビットコインを購入したことも象徴的な追い風となった。
加えて、メタプラネット(3350)やマイクロストラテジー[MSTR]など暗号資産トレジャリー企業に対する過度な警戒感も後退し、暗号資産全体のセンチメントが改善。こうした複数の支援材料が重なり、ビットコインはBTC=90,000ドル(約1,404万円)台を回復した。
来週(11月28日~12月4日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は米利下げ観測とリスクオン回復を背景に底堅さを維持する展開か
まず、米雇用統計の発表が先送りとなるなか、ADP雇用統計やISM関連指数といった民間指標が相場を左右するイベントとして注目される。いずれも市場予想を下回る内容となれば、利下げ観測が一段と高まり、米国株とともにビットコインも買われやすい地合いとなるだろう。
また、AI半導体株の調整リスクに対する過度な警戒感が後退し、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]をはじめとする大手金融機関が米国株の強気見通しを相次いで示していることも、市場全体のリスクオンムードを後押ししている。
米国ではビットコイン・イーサリアムETFからの資金流出が続く一方で、ソラナやリップルなど新たに上場したアルトコインETFには連日資金が流入している。今後も新規銘柄のETF上場が進み、アルトコインETFへの需要が拡大するようであれば、資金循環の流れからビットコイン・イーサリアムETFにも資金が回帰し、暗号資産市場全体の下支え要因となる可能性がある。
さらに、米テキサス州によるETF経由のビットコイン購入を契機に、他州でも同様の動きが広がれば、公的主体による需要拡大期待が高まり、中長期的な買い材料として意識されるだろう。
もっとも、12月FOMCを控えて政策判断への不透明感は残り、当局者発言や経済指標、ETFフロー次第で神経質な値動きが続くことが想定される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=100,000ドル(約1,560万円)、下値はBTC=85,000ドル(約1,326万円)を意識する。
