今週(11月14日~11月20日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):米利下げ観測の後退と株安連鎖で下げ加速

ビットコインは、米利下げ観測の後退と株式市場の調整懸念を背景に売りが継続し、約半年ぶりの安値水準へと下落した。

複数の米連銀総裁が利下げに慎重な姿勢を示し、12月追加利下げの不透明感が強まると、米国株では割高感の意識されていたハイテク株を中心に大幅下落。これを受け、ビットコインにも売り圧力が波及した。

一方、市場では暗号資産トレジャリー企業による売却観測が意識されていたものの、マイクロストラテジー[MSTR]が噂を否定したことで過度な懸念が後退し、BTC=95,000ドル(約1,496万円)付近で下げ渋る場面もみられた。

しかし、政府閉鎖の影響で発表が延期されていた9月の米雇用統計や、エヌビディア[NVDA]決算を控えて米国株が続落すると、ビットコインにも再び売りが強まった。ETFからは連日で数億ドル規模の資金が流出し、BTC=90,000ドル(約1,417万円)を割り込んだ。

その後、エヌビディア決算が市場予想を上回ったことで米国株が反発し、ビットコインも連れ高となった。しかし、FOMC議事要旨を受けて12月の金利据え置き観測が強まると戻りは鈍化し、9月の米雇用統計発表後に再び米国株とともに下落した。

 

来週(11月21日~27日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は米利下げ観測の揺らぎとハイテク株調整を引き続き注視する展開か

来週のビットコインは、企業の決算発表が一巡し、市場の関心が年内最後となるFOMCへ移る中、米利下げ観測の揺らぎとハイテク株調整を引き続き注視する展開が予想される。

米労働局は10月雇用統計の発表中止を決定し、11月分と合わせて12月16日にまとめて公表する見通しとなった。FRB(米連邦準備制度理事会)は十分なデータが揃わない状況下で政策判断を迫られるため、市場では金利環境の不透明さが一段と強まっている。こうした中でAI・半導体を中心とするハイテク株の調整が再び進めば、リスク資産全般への影響としてビットコインにも売り圧力が及ぶ可能性がある。

一方で、ビットコインは高値から約30%の調整を経ており、底打ち感も意識され始めている。実際、チェコ中央銀行やエルサルバドル政府が押し目買いに動くなど、国家レベルでの買い需要も確認されている。長期保有層や大口投資家の買い増しが続けば、BTC=90,000ドル割れの局面では下値を支える力が働きやすいだろう。

加えて、米国ではアルトコインETFの上場が本格化しており、来週にはグレースケールのドージコインETFが新たに取引開始される見込みとなっている。政府機能が復活したことでSEC(米証券取引委員会)審査が再開しており、他銘柄ETFが相次ぎ承認されれば、暗号資産市場全体に資金が回帰するきっかけとなる可能性もある。

もっとも、当面は目立った材料が乏しい中で、株式市場の動向や金利観測が相場を左右しやすく、戻り局面では上値の重さが意識されやすいだろう。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=98,000ドル(約1,543万円)、下値はBTC=85,000ドル(約1,338万円)を意識する。