モトリーフール米国本社 – 2025年11月18日 投稿記事より
マーケットで注目を集める「フォーム13F」
多くの投資家にとって、決算シーズンは四半期で最も重要なイベントです。この6週間の期間中、S&P500構成企業の大半が直近四半期の業績を発表し、投資家は米国企業全体の健全性や市場動向を把握することができます。証券取引委員会(SEC)に提出される「フォーム13F」も、同等に重要性が高い資料といえます。
フォーム13Fは、運用資産が1億ドル以上の機関投資家が四半期終了後、45暦日以内に提出を義務付けられている報告書で、資産運用会社が第3四半期にどのような売買を行ったかが詳細に示されています。13Fの提出期限は2025年11月14日でした。
フォーム13Fには、提出時点では最大45日前の情報であるという性質上の課題もありますが、ウォール街で最も成功を収めている資産運用会社がどの銘柄、セクター、業界、トレンドに関心を寄せているかを把握する上で極めて価値の高い情報源となっています。
バフェット氏、バンク・オブ・アメリカ株を大量売却し、消費者向け巨大企業の株式を5四半期連続で買い増し
ウォーレン・バフェット氏まもなく退任する予定ですが、バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEOである同氏ほどウォール街において注目を集める資産運用者はいないでしょう。「オマハの賢人」と称されるバフェット氏はCEOとして60年にわたってベンチマークであるS&P500指数を大きく上回る投資リターンを実現してきました。バフェット氏が行ってきた投資は多くの場合、投資家たちの資産増加に貢献してきたと言えます。
2025年11月14日の取引終了後、バークシャー・ハサウェイは7-9月期決算について13F報告書を提出しました。そこで明らかになったのは、かつてバークシャーの2番目の保有銘柄であったバンク・オブ・アメリカ[BAC]を、継続的に売却していたことです。一方で、バークシャーが5四半期連続で、有名消費者向けブランドの株式に投資していることも分かりました。
バンク・オブ・アメリカ株、約4億6,500万株を売却へ
株式のバリュエーションについては、妥協をしない姿勢
バークシャー・ハサウェイの時価総額1兆ドルの大部分は、ウォーレン・バフェット氏の投資手腕(企業買収や上場企業への出資を含む)によるものですが、同氏の短期的な行動と長期的な理念は常に一致するとは限りません。
バフェット氏は、「アメリカ経済に対して逆らうような賭けはしない」と繰り返し明言しています。米国経済と株式市場が長期にわたり着実に成長を遂げてきたことを熟知しています。
一方で、株式のバリュエーションについては一切妥協をしない姿勢を貫いています。たとえ企業の経営陣を高く評価していても、「適正な価格でない」と判断した場合には、株式を購入したり保有したりすることはありません。こうした方針のもと、バフェット氏は過去12四半期連続で株式をネットベースで売り越しており、その総額は1,840億ドルに達しています。
バンク・オブ・アメリカ株、約4億6,500万株を売却へ
提出された13F報告書によれば、2024年7月以降(5四半期、15ヶ月の期間)、バフェット氏はバンク・オブ・アメリカの株式の4億6,478万1,994株を売却しており、これは保有株数の45%に相当します。時価ベースでは依然としてバークシャー・ハサウェイの保有銘柄の第3位ですが、2024年半ば以降では大幅な削減となっています。
利益確定は売却の明確な理由の一つと考えられます。2024年5月のバークシャーの年次株主総会において、バフェット氏は将来的に法人所得税の限界税率が上昇する可能性を示唆しました。同氏はこの懸念を、アップル[AAPL]株の保有比率を引き下げた理由として説明しています。バンク・オブ・アメリカについては直接言及されませんでしたが、同銘柄もバークシャーにとって大きな含み益が発生している投資であることは事実でしょう。
バンク・オブ・アメリカ株の利益確定の意味と懸念材料
今回のこの売却には単なる利益確定以上の意味があるかもしれません。例えば、バンク・オブ・アメリカは米国の大手銀行の中でも最も金利敏感である点も見逃せません。2022年3月から2023年7月にかけて、急騰するインフレ対策として中央銀行が急速に金利を引き上げた際、バンク・オブ・アメリカの利息収入は大きく恩恵を受けました。
しかし、現在米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ局面に入りつつあり、これによりバンク・オブ・アメリカの利息収入低下が収益に逆風となる可能性があります。バフェット氏の売却行動は、中央銀行による将来の利下げと、それによるバンク・オブ・アメリカの利息収入への悪影響を見据えた判断である可能性があります。
バンク・オブ・アメリカ株に関するもう一つの懸念材料は、バンク・オブ・アメリカがもはや「圧倒的な割安株」ではないという点です。バフェット氏が2011年8月にバンク・オブ・アメリカの優先株に初めて投資した当時、同社の普通株は1株当たり帳簿価格を下回る68%の水準で取引されていました。しかし、2025年11月14日の終値時点で、バンク・オブ・アメリカ株は帳簿価値に対して38%のプレミアムで取引されており、当時のような割安さは見られない状況となっております。
バフェット氏、5四半期連続でドミノ・ピザ株を買い増し
ドミノ・ピザ、消費者との信頼関係の構築と革新的な取り組みで売上・利益の成長を達成
2022年10月1日以降、バフェット氏は株式をネットベースで売却する動きを続けてきましたが、その一方で、選択的な買い増しも行っています。最新の13F報告書によると、バフェット氏は、消費者向けファストフード・レストランチェーンのドミノ・ピザ[DPZ]の株式を5四半期連続で買い増しています。
以下は、ドミノ・ピザ株に関するバークシャーの四半期別の買付状況です:
2024年第3四半期:1,277,256株を購入
2024年第4四半期:1,104,744株を購入
2025年第1四半期:238,613株を購入
2025年第2四半期:13,255株購入
2025年第3四半期:348,077株を購入(保有株式総数2,981,945株)
わずか15ヶ月の間に、バークシャーはドミノ・ピザ株を0%から、同社の発行済株式の8.7%超を保有する規模にまで保有比率を拡大させてことになります。
ドミノ・ピザが2004年7月に株式公開(IPO)を行って以来、株価は配当金を含めて約6,600%も上昇しています。これほどの規模の上昇は偶然に起こるものではありません。これは、ドミノ・ピザが消費者との信頼関係を築き、革新的な取り組みを売上・利益成長につなげてきた結果を反映したものです。
ドミノ・ピザのAI活用、製品の生産性とサプライチェーンの改善
2000年代後半、同社の事業が苦境に立たされた際、経営陣は当時としてはリスクの高い決断を下しました。それは自社の過ちを認め、透明性をもって改善に向けた取り組みを示す「謝罪広告キャンペーン」の実施です。オープンで透明性のあるメッセージ発信を継続したことが、顧客基盤の拡大と既存顧客の維持につながりました。
さらに、ドミノ・ピザは各種の5ヶ年戦略目標を着実に上回ってきた企業でもあります。最新の「Hungry for MORE(貪欲な食欲)」計画では、AIを活用して製品の生産性とサプライチェーンの改善を図るとともに、フランチャイズ加盟店やや従業員の価値を重視し、ブランド力の強化につなげています。
ドミノ・ピザが成長を続けている2つの理由
ドミノ・ピザがほぼ無敵の成長を続けているもう一つの理由は、海外展開にあります。2024年には、海外における既存店売上高が31年連続でプラス成長を達成しました。この海外成長の基盤は依然として堅調です。
最後に付け加えるべき重要なポイントとして、ドミノ・ピザは株主還元策が充実している企業であり、これはウォーレン・バフェット氏が「優れた上場企業」に求める要素のひとつでもあります。同社は定期的に自社株買いを実施し、10年超にわたって基本年間配当を増額し続けています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカはモトリーフール米国本社の広告パートナーです。元記事の筆者Sean Williamsはバンク・オブ・アメリカの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バークシャー・ハサウェイ、ドミノ・ピザの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールには情報開示方針を定めています。
