国内政治の不透明感、米中対立激化懸念でリスクオフに
三連休明けの東京株式市場は大幅に下落して始まりそうだ。国内外で悪材料が浮上し、株式市場はリスクオフに傾く。
公明党が自民党との連立を離脱したことで、国内政治の状況が一気に不透明となった。そこに米中対立激化懸念が重なった。米国のトランプ大統領は中国製品に11月から100%の追加関税をかけると表明した。中国が新たに打ち出したレアアース(希土類)を含めた輸出規制への対抗措置だというが、他にも中国に対する批判を展開した。先週末の米国株式市場は米中対立の悪化を懸念し、主要指数が軒並み急落した。
日経平均先物は夜間取引で一時、4万5000円程度までざっくり3000円ほど下げたが、そのうち公明党離脱を受けた下げは500円程度、残りの2500円は米国株急落を受けてのものだ。13日朝10時現在は4万6000円台まで戻して取引されている。
楽観シナリオ期待でリスクをとれる向きは押し目買いで臨むチャンス
国内政治と米中対立の行方については予見不可能なので、基本的なスタンスとしては、しばらく様子を見るしかないだろう。しかし、リスクをとれる向きは押し目買いで臨むチャンスである。
さまざまなシナリオがあるが、あえて最終的な落としどころを予測すれば、首相は高市さんで落ち着くだろう。数の上では政権交代もあり得る。しかし、それはあくまで「数の上」の話であって、現実には野党が一本化するのは難しいだろう。仮にできたとしても、「自民党を下野させたい」というだけの理由で政治理念の折り合わない衆同士がむりやり一緒になったところで、なんのための政権交代か。そんな理由は大義にならないし、第一、国民の信を得られない。そのくらいのことは、政治家だってわかると思う。
そもそも政権担当能力にも疑問符がつく。そのなかでトランプ大統領の来日やASEAN(東南アジア諸国連合)/APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議など重要な政治・外交日程も控える中、ここでぽっと出の「野党上がり」の総理大臣を日本として選出できるわけがない。
問題は米中対立だが、これも修正可能だろう。同様に、さまざまなシナリオがあるが、あえて最終的な落としどころを予測すれば、両者が譲歩して歩み寄るだろう。というか、表ざたにはしないだろうが、米国が折れる。中国がレアアースを握っている以上、米国が強気に出られないのは自明のことだ。トランプ大統領が100%関税をかける、と言ったのは、その前に中国がレアアースの輸出を絞ると発表したためで、ほとんど「泣き脅し」に近い。
よって国内外の悪材料とも早期収束の可能性はじゅうぶんある。
もちろん、ここで述べたのは楽観シナリオのなかでも最上位のもので、その通りになるかはまったくわからないが、賭けてみる価値はあるだろう。
重要な米経済指標と米金融大手等に加えTSMCの決算に注目
米国では重要な経済指標が相次ぎ発表される。NY連銀製造業景気指数、ベージュブック(地区連銀経済報告)、小売売上高、生産者物価指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、輸出入物価指数、設備稼働率などだ。ただ、消費者物価指数は、24日に発表延期と伝わっている。
今週から米国企業の決算発表が始まる。ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]、ゴールドマン・サックス[GS]などの金融が主だが、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]も今週に決算を発表する。
国内でも小売りの決算が佳境を迎えるが、16日には台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]の決算もあり注目したい。
予想レンジは4万5000円~4万9000円とする。
