現在のファンダメンタルズ:米政府機関一部閉鎖で米ドル売りに

先週(9月29日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  146.592円~149.514円   147.481円
・ユーロ/米ドル:1.16828ドル~1.17784ドル 1.17397ドル
・ユーロ/円:  172.268円~175.012円   173.138円

先週(9月29日週)の米ドル/円:米政府機関一部閉鎖で米ドル売りの流れ

米政府機関一部閉鎖

先週(9月29日週)の米ドル/円は、週初の日経平均の下げと米金利低下を背景に米ドル売りから始まりました。さらに米国のつなぎ予算で共和党と民主党との合意ができず10月1日から米政府機関の一部閉鎖となる可能性がかなり高まっていたことも米ドル売りを強める流れとなりました。

そして10月1日日本時間午後1時に米政府機関の一部閉鎖が確定。さらにNY市場ではADP全国雇用者数が予想よりも悪くマイナスとなったことも重なり、一時146.592円の週間安値をつけました。その後は利食いの米ドル買い戻しも出ていましたが、10月2日には改めて146.599円の安値をつけた後に上昇。テクニカルにザラ場でのダブルボトムをつけた格好になったことから再び買い戻しに動きました。

10月3日は東京朝方に植田日銀総裁がこれまで通りではあったものの、ややハト派な発言をしたことをきっかけに株高・円安の動きとなりました。しかし米政府機関閉鎖により雇用統計の発表もないこと、また10月4日には自民党総裁選が控えていることもあり、147円台半ばで方向感がはっきりしないままに引けました。

自民党総裁選

自民党総裁選は、当初は高市氏・小泉氏二択と考えられていたところに林氏が猛追し、林総裁の誕生もありうるのではといった見方や、決選投票では小泉氏勝利といった見方が増えている中での投開票となりました。結果は当初の大方の予想通り高市氏・小泉氏による決選投票となり、決選投票では思いのほか高市氏に国会議員票が集まり、都道府県票は元々強かったことと併せ、30票ほど差をつけての勝利となりました。

金融市場では高市氏が勝利した場合には株高と円安という見方が多かったので、週明けの早朝市場では事前予想通りの動きで始まり日経平均先物は4万8000円台、米ドル/円は149円台とギャップアップして始まりました。しかし為替市場ではこのまま円安一方向に動くとも思えず、引き続き150円の大台はレジスタンスとして意識される流れに変化はないものと考えています。

先週(9月29日週)のユーロ/米ドル:米ドル安の動きから上昇

先週(9月29日週)のユーロ/米ドルは、米政府機関の一部閉鎖に対する懸念が現実のものとなったことからユーロ買い(米ドル売り)がほぼ週を通して続きましたが、値幅は狭く週間レンジはわずか96pips弱にとどまりました。米ドル/円での米ドルの下げの方が大きく、結果としてユーロ/円も下げる動きが目立ちました。

ユーロ/円は週明けの朝方に一時175.012円をつけましたが、その後は急速に値を失い、10月2日には週間安値となる172.268円を見て、週末にかけては173円台を回復しての引けとなりました。週明けの米ドル/円での円安の動きからユーロ/円も一段高でのスタートとなりましたが、米ドル/円が一方向に円安に進むとも思えないため、ユーロ/円も時期に落ち着くでしょう。

やはり現状は米政府機関一部閉鎖による米経済への悪影響の方が気になる材料となるため、基本的に米ドルは上値を抑えられやすい流れが続くでしょう。政府機関がいつ再開になるのかはまだみえてきませんが、再開の動きが出てくるまでは米ドル買いには動きにくいのではないでしょうか。

米ドル/円チャート(週足)、収束から上昇チャンネル(ウェッジ)へ

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
【週足チャートの見方】
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

週足チャート(図表1)では、三角もちあい(黄色のサポートとレジスタンス)を前週終値で上抜けたので黄色いライン(長期)のチャートパターンを上昇チャンネルへと変更しました。中期的には青のラインで示した拡散型もちあいという可能性も残されています。週明けの円安の動きで先週(9月29日週)の始値付近へと戻してはいますが、青の上側のライン(現在150円台半ば)を明確に上抜けない限りまだ円安が加速するというシナリオには警戒が必要です。瞬間最大風速で上ヒゲでの7月高値150.914円(青の水平線)トライという動きが現時点で最大限の円安の動きではないかとみています。

短期的には日足チャートをご覧ください。

米ドル/円チャート(日足)、10月1日にデッド・クロスも本日10月6日にゴールデン・クロスに転換か

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
【日足チャートの見方】
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

米ドル/円は9月26日から下げた動きで10月1日にデッド・クロス(DC)が発生しましたが、今朝10月6日の149円台へのギャップアップの動きでゴールデン・クロス(GC)へ転換する可能性が高い状態です。当面はギャップの下限=10月3日高値(147.813円)がサポートとなってきます。レジスタンスは週足チャートに書いた通りですので、147円台後半から150円台半ばの間での動きが予想されます。円高方向に余裕あるレンジではありますが、米政府機関の再開が見込まれるまでは積極的な米ドル買いは難しいかということもあります。

まずは本日10月6日の東京市場と海外市場の反応を見た上で、上記週初のレンジシナリオに変更が必要となるのか見極めたいと思います。

ユーロ/米ドルは横方向の動きが続き、移動平均線に近づきつつある

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=ユーロ買い継続も踊り場が続く
出所:マネックストレーダーFX
【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=10月1日にゴールデン・クロスも転換の可能性
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は年初来高値を更新後に黄色のラインの上昇ウェッジの中で下側のサポートラインを試そうとする動きが出てきました。週初早朝の米ドル/円での米ドル高の動きがややユーロ/米ドル下押しの動きとなっていることから今週はこのサポートを維持できるかどうかを見極める週となります。さらにその直下には週足移動平均線も位置していますので、今週(10月6日週)に限らず10月はユーロにとってテクニカルには重要な時期となってきたと思います。

日足チャート(図表4)でも週足と同じラインのみを残しました。サポートラインを試している最中であることがよくわかりますが、2本の移動平均線は1日のゴールデン・クロス状態が続いていますが、本日の終値次第でデッド・クロスに転換する可能性が高いと言えます。ただ短期的な動きももみあいとなっているため、デッド・クロスになったとしても短命に終わるかもしれません。今は週足でのサポートラインと移動平均線との位置関係を注視しておきましょう。

ユーロ/円は年初来高値を再び更新か

ユーロ/円です。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=ユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円は9月22日週につけた年初来高値(175.046円)に今朝10月6日のギャップアップの動きで目前まで迫ってきています(執筆時点の高値は175.030円)。2025年の高値よりは2024年高値(175.422円)のほうが重要度は高く、同水準を試すかどうかを今週は見極めることとなるでしょう。また現在の動きは青の平行上昇チャンネルの中での動きと考えられますので、2024年高値を更新後に達成感でいったん反落という動きがもっともありそうな動きでしょうか(図表5)。

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=9月30日にデッド・クロスも本日10月6日に転換か
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では9月30日にデッド・クロスとなりましたが、今朝のギャップアップで10月6日もしくは10月7日にもゴールデン・クロスに転換する可能性が高い状態です。青の平行上昇チャンネルの上側のラインを試そうとしている状況もよくわかりますが、米ドル/円の影響とはいえ、ここまでのギャップアップは珍しいチャートパターンです。ギャップは強いトレンド発生時に現れますが、米政府機関一部閉鎖中という時期が時期だけに難しい局面ではあります。

それでは今週も良いトレードを!