【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 45,400.86  ▼220.43 (9/5)
NASDAQ: 21,700.39  ▼7.31 (9/5)

1.概況

先週末の米国市場は、主要3指数が揃って下落となりました。注目されていた8月の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は前月から2万2,000人増と市場予想を大きく下回る結果となったほか、失業率は4.3%と2021年10月以来の高水準となり、労働市場の減速が示されたことが株式市場の重荷となりました。

ダウ平均は、35ドル高の45,656ドルと続伸して取引を開始しました。朝方は軟調な雇用統計の結果を受けて長期金利が下落したことで小幅高となるも、次第に景気悪化の懸念が売りを呼び、中ごろからは軟調な推移となりました。最終的にダウ平均は220ドル安の45,400ドルで取引を終えました。

S&P500株価指数は、朝方に最高値を更新する場面がみられるも下げに転じ、最終的には20ポイント安の6,481ポイントで反落となりました。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は7ポイント安の21,700ポイントと、3日ぶりに反落で取引を終えました。

2.経済指標等

8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月から2万2,000人増と市場予想であった7万5,000人を大きく下回る、低調な伸びとなりました。失業率は市場予想と一致する4.3%となるも、前月の4.2%から上昇したこともあり労働市場の悪化が意識されています。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち5業種が上昇しました。不動産やコミュニケーション・サービスなど1%未満の上昇となりました。一方で6業種が下落し、エネルギーが2.1%安とセクターの下落率トップとなりました。金融が1.8%安となったほか、残りの4セクターは1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は、30銘柄中10銘柄が上昇となりました。ソフトウェアのセールスフォース[CRM]が2.8%高と構成銘柄中の上昇率トップとなりました。シャーウィンウィリアムズ[SHW]やホームデポ[HD]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、アムジェン[AMGN]の4銘柄が1%以上の上昇となりました。一方で、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が3.1%安で下落率トップとなり、エヌビディア[NVDA]やシェブロン[CVX]、マイクロソフト[MSFT]、ビザ[V]の4銘柄が2%以上の下落となりました。また、ナイキ[NKE]など6銘柄が1%台の下落率となりました。

ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]がイーロン・マスクCEOの新しい報酬案を取締役会が示し、これが業績拡大の思惑買いにつながり3.6%高となりました。半導体のブロードコム[AVGO]はChatGPTのオープンAIとの提携でカスタムAIチップを開発すると伝わり、9.4%高となりました。一方でヘルスケアのケンビュー[KVUE]は、米保険福祉省のロバート・ケネディ長官が同社の解熱鎮痛剤タイノールの妊婦による服用と自閉症発祥の関連性を疑っていると伝わり、9.4%安となりました。

5.為替・金利等

長期金利は、前日から0.09%低い4.07%となりました。8日朝のドル円は148円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末の米国市場は、雇用統計の結果が労働市場の軟化を意識させたことで主要3指数が揃って下落しました。これを受け週明けの日本市場も、売りが優勢でのスタートが予想されます。

一方で、昨日7日には石破首相の辞任表明があり、次の自民党総裁が誰になるか注目されます。総裁選の時期など、これから決まっていくものですが、次期総裁への期待感が株式市場を支える可能性も考えられるでしょう。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)