モトリーフール米国本社– 2025年8月31日 投稿記事より
モトリーフールの寄稿アナリスト3名が、価値が数倍に成長する可能性を秘めたテクノロジー企業をご紹介
マルチバガー株(株価が数倍に上昇する銘柄)は、投資家にとって夢の存在です。実際、ポートフォリオにこうした銘柄をわずか数銘柄組み入れることにより、コツコツと続けた少額投資が大きな資産へと成長することがあります。
そこで、モトリーフール寄稿アナリストに、今後大きなリターンもたらす可能性のある銘柄について聞きました。選ばれた銘柄は、レディット[RDDT]、ロク[ROKU]、センチネルワン[S]の3銘柄です。
レディット[RDDT]:成長軌道の初期段階で多くの魅力がある
担当:Jake Lerch
筆者がマルチバガー株を見極める際に重視するのは次の2点です。第一に、売上高が急速に成長していること。次に、時価総額がまだ小さく、現実的に数倍の成長が見込めることです。この観点から、すでに時価総額が数兆ドル規模に達しているエヌビディア[NVDA]やマイクロソフト[MSFT]、アップル[AAPL]などは候補から外れます。
この2つの条件を満たした銘柄がソーシャルメディアプラットフォームを運営しているレディットです。急成長中のテクノロジー株であり、時価総額は400億ドルです。
レディットには多くの魅力がありますが、まずは第一の重要要素である売上高の成長から見ていきましょう。2022年後半以降、同社は前年比で平均43%という驚異的な売上高の伸びを維持し、第2四半期には売上高は前年比78%増と過去最高の伸びを記録しました。
この増収の背景には新規ユーザーの急増があり、それがさらに新たな広告収入の大幅な流入を呼び込んでいます。第2四半期におけるプラットフォームの1日あたりユニークアクティブユーザー数は21%増加し、1億1,000万人に達しました。これは膨大な人数ではありますが、レディットはまだ成長軌道の初期段階にあります。例えば、ソーシャルメディア大手のメタ・プラットフォームズ[META]は、同社のアプリ・ファミリーの1日あたり平均ユーザー数が34億人を超えていると公表しています。つまり、今後数年間でレディットがプラットフォームのユーザー基盤と収益を大幅に拡大する余地は、依然として残されているのです。
筆者は今後10年間でレディットの株価が最大6倍程度に上昇する可能性があると考えています。2024年のIPO以降、同社の株式はすでに500%を超える上昇を記録しておりこれは注目に値するでしょう。こうした驚異的な成長と控えめな時価総額を考慮すると、レディットは今後際立ったマルチバガー株となる可能性のある次世代のテクノロジー株であると見ています。
ロク[ROKU]:ストリーミング視聴が主流になり、広告収入増へ
担当:Will Healy
テクノロジー分野における次のマルチバガー候補として有力視されるのが、ストリーミング大手のロクです。
ロクは2021年の高値から80%超下落し、いまだ回復には至っていません。そのため一見すると大幅なリターンが見込める銘柄には見えないかもしれません。さらに、同社は広告市場において、ストリーミングプラットフォームも運営する大手テクノロジー企業数社と直接競合しています。その中には、グーグルの親会社アルファベット[GOOGL]やアマゾン・ドットコム[AMZN]といった強力なライバルが含まれます。
しかし、これらのテクノロジー大手企業は北米市場においてロクを追い抜くことはできず、ロクは米国、カナダ、メキシコにおいて依然としてナンバーワンのストリーミングプラットフォームの地位を維持しています。さらに、ラテンアメリカやヨーロッパなどの地域でも着実に展開を続けており、その結果、第2四半期には、プラットフォーム上でストリーミングされたコンテンツ視聴時間が前年同期比17%増加しました。
米国ではストリーミング視聴者数が従来のテレビ視聴者数を上回っており、今後米国をはじめとする各市場でストリーミングが主流となるにつれ、ロクは広告収入の増加による恩恵を受ける態勢が整っています。
これまで投資家が失望していたのは、同社の赤字経営でした。第2四半期に黒字化したものの、それは事業によるものではなく投資による未実現利益によるものでした。ただし経営陣は、2026年までに事業ベースでの完全な黒字化を見込んでおり、これにより投資家の信頼は高まるでしょう。
この財務見通しの改善は、ロクの割安なバリュエーションを際立たせるはずです。過去の損失のため株価収益率(PER)は算出できませんが、株価売上高倍率(P/S)は3.2倍とS&P500種指数構成銘柄の平均値にほぼ近い水準です。
多くの成長株が2桁の売上高倍率を示す中、この水準は注目に値するでしょう。もし売上高倍率が10倍を上回れば、その倍率拡大によってロクをマルチバガーに変える可能性があり、史上最高値を更新する可能性もあると考えます。
センチネルワン[S]: 反発前のバネのように力を秘めており、見過ごされているAI株
担当:Justin Pope
市場全体がすでに史上最高値圏で取引されている状況では、潜在的なマルチバガー株を見つけるのは容易ではありません。しかし、サイバーセキュリティ企業のセンチネルワンには、今後数年間で株価が倍増する可能性が残されています。
同社の「シンギュラリティ・テクノロジー・プラットフォーム」はAIを活用し、顧客のエンドポイント、アイデンティティ、クラウド全体にわたる脅威を積極的に検知・軽減します。競争の激しいサイバーセキュリティ業界にあっても、センチネルワンの先進技術は特に際立っており、第三者機関からも高く評価されています。IT分野の調査・コンサル企業であるガートナーは5年連続でセンチネルワンをエンドポイントセキュリティ分野のリーダー企業に選定しています。フォーチュン1,000企業のうち4社、フォーブスのグローバル2,000企業ではさらに数百社が顧客として名を連ねています。
にもかかわらず、株価のパフォーマンスは芳しくありません。2021年後半の上場以来、センチネルワンの株価は史上最高値から75%下落しています。投資家が競争力に懸念を抱いていることが一因でしょう。直近4四半期の売上高8億6,400万ドルは競合他社を大幅に下回り、同社の事業は赤字状態が続いています。
ただし幸いなことに、センチネルワンは潤沢な現金を保有しており、成長と収益化に向けて前進するための時間的余裕があります。もしセンチネルワンが厳しい競争環境の中で利益を上げられると投資家に確信させることができれば、株価は大きく見直される可能性があります。
評価面でも注目すべき点があります。センチネルワンの企業価値売上高倍率は約5倍で、クラウドストライク・ホールディングス[CRWD]の24倍やパロ・アルト・ネットワークス[PANW]の13倍など競合他社と比較して、極めて低い評価水準にあります。事業成長の継続と利益率改善に伴うバリュエーションの上昇が実現すれば、株価は大幅に上昇する可能性があります。
もちろん、センチネルワンが潜在力を確実に発揮する保証はありませんが、最終的に大きな成果を上げる銘柄は、往々にして初期にはリスクが高く見える傾向があります。今の市場でこれほど割安に放置されているケースは稀であり、センチネルワンは検討する価値のある候補と言えるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jake Lerchはクラウドストライク、エヌビディア、レディットの株式を保有しています。元記事の筆者Justin Popeは記載されているどの企業の株式も保有していません。元記事の筆者Will Healyはロクの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、クラウドストライク、メタ・プラットフォームズ[META]、マイクロソフト、エヌビディア、ロク、センチネルワンの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はガートナー[IT]とパロアルト・ネットワークスを推奨し、以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、マイクロソフトの2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。
