東京市場まとめ
1.概況
日経平均は59円高の41,515円と反発で寄付きました。先週末の米国市場は主要3指数が揃って上昇したほか、27日には米国とEU(欧州連合)が貿易交渉で合意したと伝わり、買いが先行でのスタートとなりました。一方で、先週はTOPIXが過去最高値を更新するなど上昇基調を強めていたこともあり、利益確定の売りが出たことで早々に下落に転じ、その後は伸び悩む展開となりました。徐々に下げ幅を拡大しての推移となった日経平均は308円安の41,148円で前引けとなりました。
後場も基調は変わらず、安値圏での推移となりました。半導体関連銘柄などが下げを主導し、14時00分には458円安の40,997円をつけ本日の安値を更新しました。その後も安値圏で一進一退に推移した日経平均は、節目の41,000円を割り込む457円安の40,998円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が5日続伸、0.1%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
アドバンテスト(6857)は9.0%安の10,465円をつけ大幅反落となりました。外資系証券が投資判断を真ん中の「ニュートラル(中立)」から最下位の「セル(売り)」に引き下げ、これを嫌気する売りが優勢となりました。
リクルートホールディングス(6098)は2.6%高の9,050円をつけ反発となりました。外資系証券が、投資判断を3段階で真ん中の「中立」から最上位の「買い」に、今後12ヶ月の目標株価を従来の8,200円から10,000円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストはリクルートの主力事業であるインディードについて、「付加価値サービスや収益化施策がもたらすアップサイドについて、市場では定量的な理解が深まっていない」として、買いの好機との見方も示しています。
SCREENホールディングス(7735)は9.7%安の11,030円となりました。25日に発表した2026年3月期の第1四半期決算は、営業利益が前年同期比12.2%減の243億円と市場予想を下回ったことや、直近で高値を記録していることもあり売りが優勢となりました。
DMG森精機(6141)は0.8%高の3,566円の年初来高値をつけ反発となりました。2024年8月以来の高値となりました。米国とEUが27日、貿易交渉で合意に達し、米関税政策を巡る不透明感の後退に加え、欧州への売上比率の大きい同社に対し収益拡大を期待した買いが入りました。
AIによる音声認識ソリューションを提供するHmcomm(265A)は一時ストップ高水準となる30%高の1,304円をつけ年初来高値を更新しました。25日、AIによる新たな議事録作成ツール「オンプレZMEETING」を発表しており、同ツールが日本語のあいまいな表現まで正確に理解するなどの特徴を持つことから今後の事業展開を期待した買いが殺到しました。
VIEW POINT: 明日への視点
米国とEUの関税合意を受けて寄付きは反発するも、利益確定の売りにより日経平均は軟調な推移となりました。明日に向けては、大引け後から実施される両院議員懇談会の内容が注目され、石破首相の進退に関する新たな情報が出た際には、明日の株式市場の材料となりえるでしょう。
その他には、本日引け後の塩野義製薬(4507)や野村総合研究所(4307)、日東電工(6988)の決算発表に注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
