日米中央銀行のスタンス変化の有無に注目
今週は各国中央銀行による金融政策に関する会合が相次ぐ「中銀ウィーク」だ。30日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)、31日には日銀の金融政策決定会合後の決定内容発表がある。日米のほかにも30日にカナダとブラジルの中銀がそれぞれ政策金利の発表をする。
日米の金融政策決定会合では、ともに今回は現状維持で政策金利の変更はないものと想定されている。しかし、トランプ大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)に執拗に利下げを要求している。 トランプ大統領は24日、改修工事費用が高額だと批判しているFRBの本部ビルの工事現場を視察した。大統領がFRB本部を訪れるのは極めて異例だ。ヘルメット姿でパウエル議長と並んで記者団の質問に応じたトランプ大統領は「金利を引き下げてほしい」とここでも重ねて要求した。こうしたトランプ大統領の姿勢にFOMCがハト派的な態度で応えるかが注目される。
日本での注目は日銀が31日の決定会合にあわせて公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」だ。一部に物価見通しを上方修正するとの見方がある。会合後の総裁記者会見の発言なども含めて、追加利上げの観測が強まれば、金利上昇圧力がかかり株式相場の重石となる。
また、米国では、30日に4~6月期のGDP(国内総生産)速報値、31日に6月の個人所得・個人消費支出(PCE)とPCE物価指数、8月1日に7月の雇用統計など重要な経済指標の発表が相次ぐ。
佳境を迎える日米主要企業決算に加え、本日の自民党両院議員懇談会が重要材料
決算発表も佳境に入ってくる。29日にボーイング[BA]、メルク[MRK]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、ビザ[V]、30日にイーベイ[EBAY]、マイクロソフト[MSFT]、クアルコム[QCOM]、メタ・プラットフォームズ[META]、 31日にアップル[AAPL]、アマゾン[AMZN]、8月1日にシェブロン[CVX]、エクソンモービル[XOM]など。なかでも毎回のことだがGAFAMのマイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンの決算に注目が集まる。
国内でも主要企業の決算発表が前半戦のピークを迎える。28日には日東電工(6988)、29日にはキーエンス(6861)、アドバンテスト(6857)、NEC(6701)、コマツ(6301)、JR東海(9022)、30日には武田(4502)、富士通(6702)、OLC(4661)、村田製作所(6981)、パナソニックHD(6752)、アステラス製薬(4503)、カプコン(9697)、 31日には日立製作所(6501)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、東京エレクトロン(8035)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、三菱電機(6503)、第一三共(4568)、デンソー(6902)、イオン(8267)、JR東(9020)、8月1日には商船三井(9104)、任天堂(7974)、伊藤忠(8001)、三井物産(8031)、KDDI(9433)、TDK(6762)、日本製鉄(5401)が決算を発表する。
以上、見てきたように今週は日米の金融政策会合、重要な経済指標、企業決算とファンダメンタルズ面で重要な材料が目白押しだが、それらに加えて重要なイベントがある。自民党が28日に開く党の両院議員懇談会だ。それを機に石破政権の退陣要求が強まる可能性がある。今後の政権の枠組みを巡る重要な材料として目が離せない。
予想レンジは4万円~4万2000円とする。