【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 43,089.02 △507.24 (6/24)
NASDAQ: 19,912.53 △281.56 (6/24)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って1%以上続伸しました。イスラエルとイランの停戦合意を受けて投資家心理が改善し、主力株を中心に買いが集まりました。また、停戦合意により原油価格が下落したことでインフレリスクが後退し、それに伴う金利低下が好感され、株式市場を押し上げました。その他、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は米連邦議会下院での議会証言で、利下げを急がない姿勢を改めて示す一方、米労働市場は底堅く米経済は堅調との見方も示しました。
ダウ平均は225ドル高の42,807ドルで取引を開始した後、212ドル高の42,794ドルでこの日の安値を付けました。安値を付けた後は終日堅調な動きとなり、一時は601ドル高の43,183ドルまで上げ幅を広げました。最終的には507ドル高で取引を終え、ダウ平均は3日続伸となりました。
また、S&P500株価指数は67ポイント高の6,092ポイント、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は281ポイント高の19,912ポイントで取引を終え、いずれも続伸しました。
2.経済指標等
第1四半期の米経常収支の赤字額は、前期比44.3%増の4,502億ドルとなり、4,435億ドル程度を見込んだ市場予想以上の赤字額となりました。S&Pケースシラー住宅価格(20都市)の前年比は3.42%上昇となり、前回結果(4.08%)から鈍化しました。また、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は93.0となり、市場予想(99.7)と前回結果(98.4)を下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち9業種が上昇となりました。なかでも、情報技術、金融、コミュニケーション・サービス、ヘルスケアが1%以上上昇しています。一方で、エネルギーと生活必需品の2業種が下落となり、特にエネルギーは1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄のうち24銘柄が上昇しました。なかでも、セールスフォース[CRM]とアメリカン・エキスプレス[AXP]が3%近く上昇したほか、エヌビディア[NVDA]やゴールドマン・サックス[GS]、ビザ[V]、アマゾン・ドットコム[AMZN]も2%以上上昇しました。その他、キャタピラー[CAT]やアムジェン[AMGN]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]など8銘柄が1%以上上昇しました。一方で、6銘柄が下落となり、特にシェブロン[CVX]は2%以上下落しました。その他、アップル[AAPL]やトラベラーズ・カンパニーズ[TRV]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]などが1%未満の下落となりました。
ダウ平均構成銘柄以外では、クルーズ船運営のカーニバル[CCL]が、第2四半期決算を発表し、売上高、EPS(1株当たり純利益)が市場予想を上回ったほか、ガイダンスで業績見通しを上方修正したことが好感され、6.9%上昇しました。また、ウーバー・テクノロジーズ[UBER]は、同社と提携中のアルファベット(GOOGL)傘下ウェイモの自動運転車による配車サービスの提供を開始したことが好感され、7.5%上昇しました。一方で、イスラエルとイランの停戦の影響による原油安により、石油会社は連れ安となり、オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]は3.3%安、エクソン・モービル[XOM]は3.0%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.06%低い4.29%で取引を終えました。ドル円は、144円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場では、イスラエルとイランの停戦合意が好感され、主要3指数が揃って1%以上の続伸となりました。この流れは日本市場にとって追い風となる一方で、中東情勢の緊張緩和については日本市場ではすでに前日の取引である程度織り込まれており、株価が高値圏にあることから、戻り待ちの売りが警戒されています。
また、外国為替市場ではドル円が前日から円高方向に進んでいるため、主力の輸出関連株には重荷となると見込まれ、日本市場は方向感に欠ける展開となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)