現在のファンダメンタルズ:リスクオンとリスクオフで上下しやすい時期
先週(6月9日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 142.782円~145.463円 144.132円
・ユーロ/米ドル:1.13729ドル~1.16295ドル 1.15477ドル
・ユーロ/円: 164.553円~166.724円 166.432円
先週(6月9日週)の米ドル/円: 米中協議進展期待から中東情勢懸念へ
先週(6月9日週)は、週前半は米中貿易協議に対する期待からリスクオンの動きが強まり、株式市場は上昇、円相場は円売りの動きが続きました。
6月11日NY市場朝方にはトランプ米大統領が「米中間協議は双方のトップが承認すれば合意、レアアースは前倒しで供給」と発言したことで、米ドル/円は週間高値145.463円まで上昇しました。しかし直後に発表された米国CPIが前月比で予想よりも弱かったことから米金利が低下、米ドル/円も144円台へと水準を下げました。
翌6月12日はイスラエルがイランへの攻撃準備を米国に伝えたことから緊張が高まり、イスラエルによる攻撃が実施されたことで急速にリスクオフが強まり、米ドル/円は終日下落を続けました。
6月13日朝方にはテヘランで爆発音とのニュースに株式市場が急落、米ドル/円も週間安値となる142.782円をつけましたが、その後は急速に買い戻され144円台前半を回復しての引けとなりました。
安全資産として米ドルが買われたという分析もありましたが、金価格が対ドルで上昇し続けていることや、NYダウが引けにかけて東京市場での先物価格を割り込む動きを見る限り、単に週末前のポジション調整と見た方がよさそうな感じがします。
なお、今週(6月16日週)はG7サミット、日銀会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)と続きます。念のためマーケットに影響を与えるイベントには注意しておきましょう。
先週(6月9日週)のユーロ/米ドル:2021年11月以来の高値を示現
先週(6月9日週)のユーロ/米ドルは、4月高値を上抜けて、6月12日には1.16295ドルの高値をつけました。これは米ドル/円同様に中東情勢の悪化を懸念した米ドル売りの動きが対ユーロでも活発になったことによるものです。その後週末に向けてはやや押しが入りましたが、ユーロは対ドルだけでなく対円でも強さが目立ち166.724円の高値をつけています。
ユーロ/円は2024年10月の戻り高値を上抜け、2024年7月以来の水準となります。詳しくはテクニカル分析の項目に譲りますが、長期に渡って横方向のもみあいを続けていたユーロ/円がついに上昇トレンドになってきたと考えてよさそうです。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンド継続もレジスタンスラインは削除
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開は継続中ですが、年初来高値からのレジスタンスライン(黄色)はさすがにワークしなくなってきたため、長期トレンドラインはいったん削除して短期トレンドの方向性を見極めた上で検討します(図表1)。また長期移動平均線も着実に下げ、今週は146円台半ばまできました。今後数週間でさらに下げてきますので、その時の週足ローソク足の挙動がどうなるか、まだ先の話ですが気に留めておきたいポイントです。
日足チャートをご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、6月13日にデッド・クロス
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、短期に効いている5月高値からのレジスタンスラインと4月安値からのサポートラインによるトライアングル(青)の中での動きを続けていますが、かなり頂点に近づいてきました(図表2)。トライアングルの場合、上下どちらにしても8割程度の進捗で抜けないと、大きな動きには繋がらない熟しすぎという状況も起こります。現状はその道に向かっているように見え、頂点まで行って抜けてもこれまでのもみあいを放れる動きにはつながりにくいでしょう。なお、今のところは上抜けしそうな週明けスタートです。
現状は6月13日に発生したデッド・クロスですが、本日(6月16日)ゴールデン・クロスに転じる可能性もあり、慎重に進めるならば次のデッド・クロスを待ってというスタンスがよいでしょう。米ドル/円も少し難しい動きになり始めました。
ユーロ/米ドルは年初来高値を更新し、買いトレンド継続
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していること、年初来高値を更新したことから、引き続き上昇トレンド継続という判断でよいでしょう。
日足チャート(図表4)では6月10日にゴールデン・クロスが出て、3月27日安値を起点とする上昇チャンネル(青)内でのチャンネル上限に近づいてきました。また同じ日を起点にしたフィボナッチ・エクスパンション(黒のターゲット)でも61.8%エクスパンションが1.15843ドルと前回高値とほぼ同水準となっていることを考えると、目先は高値圏でのもみあいを挟んで次の上昇を考えた方が安全そうです。
それでも、上昇チャンネル下限に近づく動きが出てくる場合には、移動平均線がデッド・クロス状態でも打診買いを入れてみるのは悪くないでしょう。
ユーロ/円も長期トレンドはユーロ買いに
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上にあり上昇トレンド継続中でしたが、ようやくこれまでのレンジ上限を上放れする動きとなってきました。2024年10月31日の戻り高値166.685円を上抜けたことで、ターゲットとしては2024年高値と安値の61.8%戻しとなる167.393円をターゲットとする流れになっています(図表5)。

日足チャートでは5月26日のゴールデン・クロス状態が続いています。ただ短期的な上昇チャンネル(青)の上限に接し、4月7日安値を起点としたフィボナッチ・エクスパンションの76.4%エクスパンションが166.287円と現状の水準に近いことから、いったん止められるのかどうかは気になるところです。勢いから推察すると一気に上昇し、週足のターゲット水準まで上がるのではないかという状況になっています(図表6)。
今後も下がったところでは押し目買いという流れが続きますが、その場合は週足チャートに示してある50%リトレースメントに重なる大台165円が強いサポートという見方でよいでしょう。
それでは今週も良いトレードを!