今週(5月30日~6月5日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米中対立やトランプ関税リスクを背景に軟調な展開
ビットコインは、米中通商交渉の不透明感やトランプ関税リスクの再燃を背景に、軟調な展開となった。
トランプ米大統領やベッセント米財務長官の発言を受けて、米中通商交渉を巡る懸念が強まった。さらに、鉄鋼・アルミ製品への輸入関税を引き上げるとの表明も重なり、リスクオフの流れが強まる中で、ビットコインはBTC=104,000ドル(約1,487万円)付近まで下落した。
その後、トランプ米大統領と習近平国家主席による電話会談の可能性が報じられると、米中通商交渉の進展への期待から徐々に買い戻しが進行した。エヌビディア[NVDA]など半導体株が上昇したことや、マイクロストラテジー[MSTR]とメタプラネット(3350)による追加購入も下支え材料となり、ビットコインはBTC=106,000ドル(約1,515万円)を回復した。
しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)当局者から利下げに慎重な発言が相次いだほか、関税引き上げによる景気への悪影響も懸念され、ビットコインは上値の重い展開となった。トランプ米大統領がイーロン・マスク氏との政府契約の打ち切りを示唆したことでテスラ[TSLA]が急落。ビットコインも一時BTC=100,000ドル(1,430万円)付近まで大きく下落した。米雇用統計の発表を控え、またトランプ・習両首脳の対話の行方を見極めようとする姿勢もあり、市場全体には警戒感が広がった。

来週(6月6日~6月12日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は底堅い展開を予想、米CPIと関税協議次第では売りに警戒か
来週のビットコインは底堅い展開を予想する。
米国による関税上乗せ措置の停止期限が約1ヶ月後に迫る中、トランプ米大統領は各国に対して協議の加速を強く求めている。中国をはじめとする貿易交渉が難航した場合は、リスクオフの流れからビットコインにも売りが波及する可能性がある。一方、英国に続き他国とも合意が成立すれば、関税リスクの後退を好感して買いが強まることも考えられる。
また、米5月消費者物価指数がインフレの高止まりを示唆する内容だった場合、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ期待が後退し、ビットコインの下押し要因となる恐れもある。貿易交渉の行方が不透明な中では、金融政策への注目度が一段と高まっており、FOMCまでは様子見姿勢が継続しやすいだろう。
一方で、市場の不透明感が高まっているからこそ、個人だけでなく企業によるビットコイン購入の動きも増えており、相場を底堅くしている。加えて、全米各州におけるビットコイン準備金法案の進展も重なれば、ビットコイン単独で価格を伸ばす展開も期待される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=108,000ドル(約1,544万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,430万円)を意識する。