東京市場まとめ

1.概況

日経平均は324円高の38,046円と反発で寄付きました。日本時間29日朝方に発表された米半導体大手エヌビディア[NVDA]の決算が良好な内容と受け止められ、日本市場では値がさ株の半導体関連銘柄に買いが入り、上昇基調での推移となりました。また、ドル円相場が一時146円台前半まで円安に推移したことも株式市場を後押しし、堅調に推移した日経平均は633円高の38,355円で前引けとなりました。

後場も寄付きから高値圏での推移となりました。前半では、利益確定の売りが入り上値を抑えるも、後半にかけて一段高となりました。堅調に上げ幅を拡大した日経平均は14時56分に731円高の38,454円をつけ本日の高値を更新すると、勢いを落とすことなく710円高の38,432円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が4日ぶりの反落となる0.3%安で取引を終えています。

2.個別銘柄等

住信SBIネット銀行(7163)はストップ高水準となる21.3%高の3,985円をつけ大幅続伸となりました。日本経済新聞は、「NTTドコモが住信SBI銀を買収する方針を固めた」と報じ、同社のTOB(株式公開買い付け)が実施された場合のプレミアム(上乗せ幅)を狙った買いが殺到しました。

トヨタ自動車(7203)は3.9%高の2,734.5円をつけ、反発となりました。米国際貿易裁判所が28日、トランプ米大統領が発動した関税は違法として、関税の差し止めを命じたことでドル円相場ではドル買い・円売りが加速し、これを受けて輸出企業の代表である自動車セクターには採算改善を期待した買いが入りました。

伊藤忠商事(8001)は1.5%高の7,636円をつけ、3日続伸となりました。日本経済新聞は、同社が自動運転システム開発で米国2位のメイ・モビリティー(ミシガン州)と資本・業務提携したと報じ、自動運転サービスの実用化による今後の業績寄与に期待した買いが入りました。

下水道向けのヒューム管を手掛ける日本ヒューム(5262)は20.8%高の1,969円をつけ、大幅反発となりました。日本経済新聞は、「政府は老朽化した大規模な下水道の更新工事を2030年度までに全国で完了させる」と報じ、6月に閣議決定する国土強靱(きょうじん)化の中期計画で目標を設けるといい、関連銘柄として思惑買いを集めました。

防犯カメラサービスを展開するセーフィー(4375)は一時16.0%高の985円をつけ年初来高値を更新しました。国内証券が同社の投資判断を3段階で真ん中の「中立」から最上位の「買い」に引き上げ、また目標株価は従来の830円から足元の水準を上回る1,100円と大幅に引き上げたことが、買い材料となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は、エヌビディア[NVDA]が良好な決算を示したことやドル円相場が円安に推移したことで大幅高となりました。直近の抵抗線であった200日移動平均線(29日終値ベースでは37,795円)も上抜けし、また米国の関税政策も自国内からの風当たりが強いことがうかがえることから、以前と比べれば株式市場のリスクオンムードは高まったものと考えられます。

明日の材料は、5月の東京CPI(消費者物価指数)があげられます。足元では長期金利が乱高下する中で、日銀の金融政策の判断材料の1つであるCPIが利上げ観測を強める内容となるかに注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)