現在のファンダメンタルズ:4月2日発表の関税に向けた思惑で振れやすい四半期末
先週(3月17日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 148.177円~150.145円 149.321円
・ユーロ/米ドル:1.07978ドル~1.09541ドル 1.08131ドル
・ユーロ/円: 160.744円~164.180円 161.467円
先週(3月17日週)の米ドル/円:FOMCでの金利見通しがハト派的と取られた
先週(3月17日週)は米露首脳によるロシア・ウクライナの停戦をテーマとした電話会談、そして日米の金融政策決定会合が大きなテーマとなりました。
米露首脳会談では、停戦に向けて何らかの進展が見られるとの期待も強く、株式市場では週明けから楽観的な買いも見られ、それに伴って米ドル/円はリスクオンの円売りが先行する動きとなりました。しかし結果としてはかなり限定的な部分停戦に留まり、本格的な停戦にはまだ時間が必要といった会談となりました。
次に日米の金融政策決定会合ですが、どちらも事前の予想通りに現状維持となりました。それぞれ会合後の会見が材料となりましたが、植田総裁会見は想定内の発言だったため一時的に円売りが出たことで150円の大台に。しかし150円超えではまだ米ドル売りオーダーも控えていたため、その後のトライでも反落する動きに繋がりました。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では四半期月の会合ということで金利見通しも併せて発表されました。こちらも前回12月から変わらず、トランプ関税によるインフレ懸念だけでなく、今後の米国の景気鈍化懸念も含めての見通しというハト派的な解釈をされ、米金利低下と為替市場での米ドル安につながりました。なお、FF先物(米国政策金利先物)の取引状況から算出される12月時点の利下げ織り込み度はこれまで2~3回という見方になっていましたが、先週末時点では3回利下げが85%とコンセンサスになってきました。
またシカゴ通貨先物の投機筋円買いポジションは約12万3千枚と前週(3月10日週)の史上最大の円買いポジションから微減となっていました。
先週(3月17日週)のユーロ/米ドル:独財政パッケージ成立思惑でユーロ買い
先週(3月17日週)のユーロ/米ドルは、週初は米露首脳電話会談に向けての期待感から買いが先行していましたが、1.09ドル台半ばから1.10ドルの大台にかけてはまだ売りオーダーが並んでいて1.09541ドルを高値に折り返す動きとなりました。
週後半にはドイツでの財政パッケージ法案の連邦上院での採決が21日にあったものの、既に連邦議会では可決していたことから特段材料視されることもなく、史上最高値を更新後に下げに転じたDAX(ドイツ株価指数)とともに、ユーロは対米ドル、対円ともに下げに転じる動きとなりました。
なお、ドイツの財政パッケージでは防衛費のGDP1%超えの支出と予算外のインフラ基金として今後12年間で5000億ユーロまで借り入れが可能となります。これは、ドイツの長期金利上昇につながるもので、短期的には金利上昇がユーロ買いと見られるかもしれませんが、長期的には財政規律の緩みがユーロ売りにつながる可能性があります。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンドを継続
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開も年初来高値からのレジスタンスライン(青)とそれに平行なライン内での動きも継続しています。(図表1)。
先週(3月17日週)は下降チャンネルの上側のラインにかなり近づく展開となり、今週(3月24日週)はこのラインが日足チャートで確認すると150円の大台を割り込んでくることがわかるので、150円の前後が強いレジスタンスとなってくると予想できます。サポートについてはここ2週間ほど147円割れで買いオーダーにぶつかっているので、引き続き147円がサポートとなってくるでしょう。日足チャートでもう少し細かく見てみましょう。
米ドル/円チャート(日足)、次のデッド・クロスを待って売り仕掛け
短期的な判断は日足で行います。

【日足チャートの見方】
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、週足チャートで確認したレジスタンスとサポートが拡大されてわかりやすくなっています(図表2)。
レジスタンスライン(青)で上値を抑えられるかどうかが注目点です。またサポート側は平行下降チャンネルの下側のラインで下げ止まったことと、フィボナッチ・エクスパンション(下降N波動の起点を年初来高値158.872円、最初の下げを2月7日の150.927円、その後の戻しを2月12日の154.797円として計算)の100%エクスパンション146.852円(黒文字のターゲット)の誤差の範囲内まで下げたことが反発に結びついたのですが、現状のサポートはもう少し上の水準になると見ています。
3月11日安値と3月19日高値のフィボナッチ・リトレースメントを考えると61.8%押しは147.918円、76.4%押しが147.392円となっています(青文字のターゲット)。両者の間を取って147円台半ばが下げ止まりやすい水準となります。
売買シグナルに関しては3月12日にゴールデン・クロスが発生した状態のままなので現状は米ドルが強い地合いとなりますが、短期的には下降トレンド内での動きが続いていることを考えると、次のデッド・クロスを待っての米ドル売りが良いという方針もそのままです。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ買い継続
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は2週連続で移動平均線を上回った後もその状態を維持しているのでユーロ高トレンドが継続中です。ただ、3月3日週の大陽線の勢いが強すぎるため、短期的にはもみあいもしくは短期的な下げを考えたいところです。
日足チャート(図表4)では3月3日からのゴールデン・クロス状態が3月21日にデッド・クロスが発生したことでユーロ売りとなりました。このユーロ売りシグナルでのターゲットとしては1月13日安値と3月18日高値の38.2%押し1.06576ドル(黒文字のターゲット)が挙げられます。1.06ドル台半ばから1.08ドル台後半のレンジをイメージしています。可能であれば少しでも高く売りたいところです。
ユーロ/円は、当面は日足チャートを参考に
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上で2週連続引けましたのでユーロ買いトレンドが確定なのですが、最近は移動平均線の近くで上下する流れが続いているため、週足チャートよりも短期の日足チャートを重視するスタンスは継続です。
また、これまではウェッジ(黄色のライン)を考えていたのですが、それよりも2024年7月高値と8月安値の半値戻し164.913円(黒文字のターゲット)をレジスタンスとして考えた方良さそうなので、しばらくはこのターゲットと重なる大台165円をレジスタンスとして考えることにします。サポートは移動平均線の水準(160.727円)となります(図表5)。

日足チャートでは3月3日のゴールデン・クロス以降買いトレンドが継続中でしたが3月21日にデッド・クロスが発生したので現在はユーロ売りとなります(図表6)。ターゲットとしては2月安値と3月高値の半値押し159.488円(青文字のターゲット)を考えておくと良いでしょう。
それでは今週も良いトレードを!