現在のファンダメンタルズ:日米金利差縮小鈍化によるポジション調整
先週(3月10日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 146.541円~149.189円 148.605円
・ユーロ/米ドル:1.08051ドル~1.09470ドル 1.08819ドル
・ユーロ/円: 158.896円~162.354円 161.712円
先週(3月10日週)の米ドル/円:ポジション調整が目立ち一時149円台乗せ
3月9日にトランプ大統領がインタビューで景気後退について聞かれ「移行期間に時間はかかる」と、長期的には明るい見通しを示す一方で、短期的には景気減速を否定しなかったことをきっかけに、先週(3月10日週)は株安とリスクオフの円買いからスタートしました。
しかし円買いポジションが積み上がっていることもあり、3月11日東京前場につけた146.541円を週間安値に反転上昇。12日には株式市場に買いが戻ったことからリスクオフの巻き返しによる円売りの動きがストップオーダーも巻き込む動きとなり、NY市場では週間高値となる149.189円をつけました。
その後、トランプ大統領がEUの報復関税に対してさらに報復の関税を課すという米国とEUとの応酬を嫌気して株式市場が売られると下押しする動きも入りましたが、先週(3月10日週)に限っては押し目での買いも根強く147円台半ばでは買い戻しが目立つ流れとなりました。
その後、14日には日経平均株価が大幅上昇する動きとともに米ドル/円も上昇、週末前のポジション調整も加わって改めて149円台乗せを見ましたが、149円台では売りたい向きも残っていた様子で、148円台半ばに押しての週末クローズとなりました。
今週(3月17日週)は19日(水)に日米の金融政策決定会合があります。両者とも現状維持がコンセンサスとなっているものの、会合後の会見で日銀は追加利上げのタイミングについて、米国はこれまでよりも緩和的なスタンスを示すかどうか、いずれも日米金利差縮小のきっかけとなることから注目となりそうです。
先週(3月10日週)のユーロ/米ドル:独財政パッケージ成立思惑によるユーロ買い
先週(3月10日週)のユーロ/米ドルは、週初こそ前週高値圏でのもみあいからスタートしましたが、11日にはドイツCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)と緑の党との協議で交渉の用意があると態度を軟化させたこと、またウクライナが30日停戦を受け入れるとしたことがユーロ買いのきっかけとなりました。
12日には一時1.09470ドルの週間高値をつけましたが、1.09ドル台半ばから1.10ドルの大台にかけてはユーロの戻り売りを考える向きも多く、ユーロ売りオーダーが並んでいたようです。そしてトランプ関税への報復関税とさらにワインへの200%関税という米欧双方の関税応酬を嫌気して株安とユーロ安の動きへとつながり1.08ドル台前半へと押す動きとなりました。
週末にかけてはユーロ売りの動きも一巡し、ドイツCDU/CSUと緑の党との協議において暫定合意したこと、またドイツの長期金利が上昇したこともあり、ユーロは対米ドル、対円ともに買い戻しが入っての引けとなりました。なお、ドイツ連邦議会での財政パッケージの採決は3月18日(火)に行われる予定です。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンドを継続
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開が続いているため長期的な米ドル安・円高トレンドの状態に変化はなく、年初来高値からのレジスタンスライン(青)、それに平行なラインも下値を支えるポイントとして効いています。(図表1)。
先週(3月10日週)もこの下降チャンネルの下側のラインと週間安値がほぼ一致を見たこと、2024年9月安値139.575円とその後の高値となった2025年1月高値158.872円の61.8%押し146.946円も近い水準であったこと、さらには円買いポジションが膨らんでいたことが重なり、ポジション調整が入るきっかけにつながったと見られます。ただ、長期的には下降トレンドが続いている認識で問題ありません。
米ドル/円チャート(日足)、3月13日にゴールデン・クロス発生
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、前回のコラムでも書いたことですが平行下降チャンネルの下側のラインで下げ止まったことと、フィボナッチ・エクスパンション(下降N波動の起点を年初来高値158.872円、最初の下げを2月7日の150.927円、その後の戻しを2月12日の154.797円として計算)の100%エクスパンション146.852円の誤差の範囲内まで下げたことが短期的な反発に結びついたと見てよいでしょう(図表2)。
3月13日にゴールデン・クロスが発生しているので目先は米ドルの押し目買いが出やすいのですが、長期トレンドは下降トレンドを継続しているため、現在の短期上昇トレンドが終わり、改めて下降トレンドに転じる次のデッド・クロスを待って米ドル売りを仕掛ける方針です。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ買いへ転換
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は先々週(3月3日週)の大陽線で移動平均線を上抜け、先週は値幅こそ大きく無かったものの移動平均線よりも上で引けました。つまり、2週連続で移動平均線を上回ったことで長期トレンドはユーロ高トレンドへと転換したことになります。

日足チャート(図表4)では3月3日時点でゴールデン・クロスとなっていましたが、2月3日安値を起点としたフィボナッチ・エクスパンションにおいて161.8%エクスパンション1.09738ドルへと上昇後は高値圏でのもみあいが続いています。レジスタンスラインを上抜けてからの値幅が大きかったことから短期的にはさらなる上値追いは難しそうです。
いったんデッド・クロスが出て押し目を作った後の次のゴールデン・クロスで改めて買いで入るのを待ちたいところです。

ユーロ/円は、当面は日足チャートの短期目線で
次にユーロ/円のチャートです。先週(3月10日週)のユーロ/円週足は移動平均線よりも上で引けました。まだ1週経過ということで今週(3月17日週)末の終値も移動平均線より上であれば上昇トレンドに転換ということになるのですが、三角もちあいから下側のラインを水平にしたウェッジ内での動きは続いています。特に上側のレジスタンスラインはこれまで効いていたことを考えると今回もこのレジスタンスラインで反落する可能性は高いかもしれません。(図表5)。

日足チャートでは2月28日のゴールデン・クロス以降、買いトレンドが継続中ですが、週足チャートでも見たレジスタンスラインにかなり近づいてきていることから、今後デッド・クロスに転じるようであればいったん売り目線で見てよいでしょう。(図表6)。前回も書いたように週足が難しいチャート形状となっていますので、引き続き日足チャートでは短期目線で行きましょう。

それでは今週も良いトレードを!