経済に重くのしかかるインフレ、FRBの動向に注目集まる
2週連続で史上最高値を更新したS&P500は、先週0.64%下げで一休み、一方、ナスダック100は0.73%上昇し、2週連続で史上最高値を更新しました。
12月11日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)は予想通りの結果となりましたが、前月比では4月以来の最高値を記録。一方で、生産者物価指数(PPI)は予想を上回り、依然としてインフレが経済に重くのしかかっていることを示しました。
しかし、投資家の間では、12月17日~18日に開催されるFRB(米連邦準備制度理事会)会合での0.25%の利下げが確実視されており、2024年3度目の利下げとなる見込みです。経済成長が堅調でインフレが高止まりしている中、2025年春までは追加の政策変更が行われない可能性が高いと見られていますが、市場はパウエルFRB議長の発言や最新の経済予測(ドットプロット)に注目しています。
AI関連株の動向:エヌビディア[NVDA]の苦戦とブロードコム[AVGO]の飛躍
AI関連株の中で、エヌビディア[NVDA]は5.75%の下落を記録し、特に注目されました。同社の株価は10週間平均線を下回る水準にあり、10月末以来の安値で週を終えました。一方で、注目のIT企業ブロードコム[AVGO]は、AI関連チップの収益予測を引き上げたことが市場で好感され、株価が1週間で25.2%上昇しました。
ブロードコムは、2027年までに600億~900億ドルの収益が期待されると発表し、投資家を熱狂させました。ブロードコムのAI関連収益は前年同期比で220%増加しており、四半期の売上高30.1億ドルのうち12.2億ドルを占めています。同社の顧客であるクラウド企業は、独自のAIチップの構築を進めており、これがエヌビディアを含む従来のプレーヤーにとって競争圧力となっています。
ナスダックの年次リバランスでマイクロストラテジー[MSTR]らが追加
S&P500が一休みする市場で、テクノロジー銘柄に牽引されてナスダック100は歴史的な最高値を更新しました。特にアルファベット[GOOGL]、テスラ[TSLA]、ブロードコムの活躍が目立ち、これらの銘柄はそれぞれ8.65%、12.1%、25.2%の上昇を記録しました。
市場の幅広いパフォーマンスを示すS&P500イコールウエイト指数は1.73%下落し、小型株のラッセル2000も2.58%下落しました。先週はテクノロジー株が上昇する一方、10年債利回りが4.1529%から4.3967%へ上昇、それ以外の銘柄は下落し、市場全体の広がりが鈍化しました。
先週12月13日(金)引け後にナスダックは、ナスダック100の年次リバランスを発表しました。今回の変更は2024年12月23日(月)の市場オープン前に適用されます。新たにインデックスに追加される企業は、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]、マイクロストラテジー[MSTR]、アクソン・エンタープライズ[AXON]の3社です。これらの企業は、過去1年間の成長と市場での影響力を反映して選ばれました。一方、イルミナ[ILMN]、スーパー・マイクロ・コンピュータ[SMCI]、モデルナ[MRNA]の3社が同指数から除外されることになりました。
年末までのマーケットは上昇を継続、年明けには調整か
米国株の季節性としては12月後半は株価が上昇する傾向があり、今週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で市場の予想通りの展開となれば、年末までのラリーでマーケットの上昇が期待されます。ただし、S&P500は2024年1度も10%以上の調整なく高値を更新してきたこともあり、2025年年明けてからトランプ次期大統領の就任式である1月20日までの間に、一時的な株価の調整があるのではないかと考えています。