足元の金融市場では、米国・イスラエルとイランによる軍事衝突の長期化が懸念されているほか、ファンド会社が資金を集めて企業に融資を行うプライベートクレジットファンドに関する警戒感も高まっています。先行き不透明な状況が続いていますが、こうした環境下では、強固な顧客基盤を背景に、株主に対して配当という形で着実に還元を行ってきた歴史を有する企業に注目するのも一案かと思います。
株式市場では、増配の継続年数に応じてステータスがあり、10年以上の実績を有する企業はDividend Achievers(配当達成者)、25年以上の場合はDividend Aristocrats(配当貴族)と呼ばれます。政治・経済環境の激変や金融市場の混乱を経験しながらも増配を続けてきたこれらの企業の多くは、株式市場参加者のみならず、社会的にも高い評価を受けているものと考えられます。
ただ、増配を続けてきた場合でも、その伸び率がわずかなものであれば、インフレを考慮した実質的なリターンは限定的になる可能性があります。また、先々の配当成長が見込めるか、という点も投資判断にあたっては重要とみられます。そこで、長期的な増配実績を有するうえ、近年において概ねインフレを上回る配当成長を実現しており、今後も配当成長が期待される銘柄を以下の条件に基づきピックアップしました。
<抽出条件>
・S&P500種株価指数に含まれる銘柄
・25年以上連続で増配
・過去5年の年平均配当成長率が5%以上
・1期先、2期先の予想配当成長率が5%以上
リストを確認すると、過去5年の年平均配当成長率が高い銘柄としてパーカー・ハニフィン[PH]がトップとなりました。同社は、機械の動きを制御するモーションコントロール技術で世界有数の地位を築いており、油圧システム、電気機械制御装置などを手掛けています。
また、医療保険や生命保険を提供するアフラック[AFL]も、過去5年の年平均配当成長率が高水準となりました。世界ではじめてがん保険を開発した同社は、所得補償や介護保険など様々な商品を販売していますが、近年の業績は踊り場の様相となっています。
他方、予想配当成長率(1期先)の基準では天然ガスの供給に携わるアトモス・エナジー[ATO]がトップとなりました。同社は一株当たり利益と一株当たり配当について2027年までに年6-8%の成長を目標として掲げています。年間設備投資額の90%が、投資から6ヶ月以内に収益を生み出し始めることから、投資資金の迅速な回収を可能とする安定した事業環境が強みと考えられます。その他にもリストには様々な業種の企業が並んでいますので、銘柄選択の際の参考にしていただければと思います。
