足元で相対的に良好なパフォーマンスを維持する米国小型株式

米国株式市場では、人工知能(AI)の普及や進化が既存企業のビジネスモデルに悪影響を及ぼすとの見方から大型株式がさえない推移となっている半面、小型株式は相対的に良好なパフォーマンスとなっています(図表1)。2025年に米連邦準備制度理事会(FRB)によって講じられた利下げが米国小型株式関連の企業に好影響をもたらすとみる向きがあるほか、企業業績の回復を巡る期待も株式市場において前向きな材料と受けとめられています。

2026年2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃して以降、金融市場は急速に不安定化し、米国小型株式も下落圧力に見舞われましたが、それでも2026年年初来ではプラスのリターンを維持しています。ただし、過去3年の騰落率でみると、米国小型株式は米国大型株式に対して大きく出遅れています。

【図表1】米国株式:サイズ別・指数騰落率
出所:Bloombergよりマネックス証券作成。米国小型株式はRussell2000指数、米国大型株式はRussell1000指数、トータルリターンベース(2026年3月11日時点)。

株式市場における物色対象の広がりが続く可能性も

米国小型株式と米国大型株式のパフォーマンスを、政治・経済環境の変化や金融市場の急変局面を含めた過去30年で確認すると、コロナ・ショック後の2021年半ば頃まで両者は概ね同水準での推移となっていたものの、その後に大きなパフォーマンス格差が生じたことがみてとれます(図表2)。

【図表2】米国株式:サイズ別・長期推移(過去30年)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成。米国小型株式はRussell2000指数、米国大型株式はRussell1000指数、トータルリターンベース、1996年3月11日時点を100として指数化(2026年3月11日時点)。

こうした動きの背景には、以下2点が挙げられます。
(1)急速なインフレを背景に米国における利上げ予想が高まるなか(実際、米国の政策金利は2022年3月~2023年7月に4%を超える利上げが行われました)、小型株式関連企業の債務負担の増加が懸念されたこと。
(2)2022年11月にChatGPTが公開され、公開からわずか2ヶ月で月間利用者数が1億人を超えるなど生成AIの普及・進化が急速に進み、株式市場で一部の大型ハイテク株式への資金流入がみられたこと。

米国におけるインフレは中東情勢の進展次第でさらなる悪材料にもなり得るため、慎重に状況を見極める必要があります。しかし、米労働市場の減速が明確化してきていることから、原油や資源価格の高騰が一時的なものにとどまり、インフレへの影響が限定されれば、FRBによる政策金利据え置きの長期化懸念が後退し、徐々に利下げ期待が高まり得ると考えられます。金融政策に関しては、3月17、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される予定です。足元における地政学リスクの高まりや資源価格の上昇に対して金融当局がどのように捉えているのかを知るうえで注目されます。

また、AIについては長期的な観点で生産性の向上、企業業績の拡大に寄与するものとみられます。しかし、ここ最近ではAIに代替されにくい、あるいはAI関連以外の要素での成長・改善が期待される銘柄を前向きに評価する向きなどもあり、株式市場における物色対象の広がりを通じて米国小型株式が選好される可能性もあります。

米国における投資の活発化が米国小型株式関連企業への追い風として期待される

こうしたなか、米国小型株式指数(Russell2000指数)の一株当たり利益(EPS)成長率は、2026年に前年比51.3%増と米国大型株式(Russell1000指数、同14.5%増)を上回る拡大をみせると予想されています。米国小型株式関連企業は近年、低調な業績でその反動から大きな成長率になるとみられています。

また、2025年の1つの大きく美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)で決定された設備投資の即時償却制度を受けて、米国企業は税負担軽減に伴うキャッシュフローの改善が見込まれ、追加投資や事業投資を後押しする可能性があります。米国内での投資の活発化は米国内売上高比率が高い小型株式関連企業への追い風として期待されます(図表3)。

【図表3】米国株式:米国内売上高比率が80%以上の企業の割合
出所:FactSetよりマネックス証券作成。米国小型株式はS&P Small Cap600指数、米国大型株式はS&P500種指数。2025年以降の数値が取得できる銘柄を対象として集計(2026年3月10日時点)。

銘柄毎のパフォーマンス格差の大きさに留意

ただし、各株式指数に組み入れられている銘柄の長期データに基づくと、米国小型株式は米国大型株式と比較してパフォーマンス格差が大きいことから(図表4)、銘柄選別が非常に重要と考えられます。

そのため、実際の投資にあたっては、以下の2つの投資アイデアがあります。
(1)個別銘柄を徹底的に調査・分析して投資対象銘柄を厳選する
(2)企業訪問をはじめとする調査・分析を行ったうえで専門家が銘柄を選別するアクティブ型投資信託を活用する

【図表4】米国株式:各株式指数・組み入れ銘柄の平均リターン(過去30年)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成。米国小型株式はRussell2000指数、米国大型株式はRussell1000指数、トータルリターンベース。1996年2月末時点において各指数に組み入れられていた銘柄が調査対象。異常値を取り除くため、取得可能な銘柄数の1%にあたる銘柄数を上位・下位それぞれから除いたうえで上位平均および下位平均を算出(2026年2月末時点)。

(2)についてはマネックス証券では以下の投資信託の取り扱いがあります。

【図表5】マネックス証券で取り扱う米国小型アクティブ型投資信託例、純資産総額降順
出所:マネックス証券ウェブサイトのファンド検索をもとに、マネックス証券作成(2026年3月11日時点)