モトリーフール米国本社、2024年11月26日 投稿記事より
グロース投資家であるキャシー・ウッド氏にとって、投資先を見つけるのは難しいことではありません
世の中には多くのグロース投資家がいますが、中でもキャシー・ウッド氏は特に積極的です。アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)の共同創業者・CEO・投資マネジャーである同氏は、市場を大きくアウトパフォームした4年前の成功を再現するのに苦労していますが、動きを止めることはありません。
ウッド氏は11月25日に、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アイボッタ[IBTA]、テラダイン[TER]の株式に追加投資しました。アーク社が運用する上場投資信託(ETF)シリーズが投資したこれらの銘柄について詳しく見てみましょう。
アマゾン・ドットコム[AMZN]
人工知能(AI)開発スタートアップ企業に追加投資
アマゾン・ドットコムの株価は、2024年11月に入って史上最高値を更新したばかりです。オンライン小売企業である同社は10%台前半の増収率を一貫して記録しており、トップの座を維持するための新しいサービスや企業提携へ投資し続けています。
ウッド氏と同様に、アマゾン・ドットコムも常に動き続けています。同社は先週、有望な人工知能(AI)開発スタートアップ企業であるアンソロピック(Anthropic)に追加投資することを明らかにしました。アンソロピックへの40億ドルの追加投資により、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)はアンソロピックにとって主要なトレーニング・パートナーとなります。トレーニング用チップであるAWS Trainiumは、アンソロピック最大の基盤モデルのトレーニングと運用に使われる予定です。さらに重要なのは、今回の追加投資が、AI分野で後れを取っていたアマゾン・ドットコムがリーダーへと成長するための近道となることです。アマゾン・ドットコムがAIで遅れを取っていることは、これまで心配の種とされていました。
追加の輸入関税の影響を受ける可能性
アマゾン・ドットコムの株価は好調で、年初来33%上昇しています。とはいえ、今週末に始まるホリデイシーズンを前に、アマゾン・ドットコムをめぐるすべてがバラ色というわけではありません。今週、アナリストの一人が、アマゾン・ドットコムが取り扱う製品の約半分は中国からの輸入品であり、2025年に課されるとみられる追加の輸入関税の影響を受ける可能性が高いと指摘し、注意を促しました。
11月に始まった格安プラットフォーム「Amazon Haul」のベータ版の提供も、打撃を受ける可能性があります。投資家は、ほとんどの製品が10ドル以下で販売される新しい格安プラットフォームの開設を、TemuやSheinといった急成長する中国のライバル企業への対抗手段として歓迎しました。しかし、急成長する新興格安サイトに対抗できるほど安い商品を、アマゾン・ドットコムはどこから調達するのでしょうか。
好材料として、アマゾン・ドットコムには課題を克服し、挑戦者を打ち負かしてきた歴史があります。先日、出品手数料を2025年まで据え置くと発表したことは、投資家から機会の逸失と捉えられた可能性があり、あるアナリストは20億ドルの逆風になると指摘しました。しかし、アマゾン・ドットコムは常に、懐疑派の一歩も二歩も先を進んでいます。
アイボッタ[IBTA]
3四半期連続で業績見通しを下方修正
新規株式公開(IPO)が失敗に終わるケースのほとんどは、第一印象の悪さが原因でしょう。広告パートナーを通じて買い物客に購入特典を提供するデジタル・マーケティング・プラットフォームを手掛けるアイボッタは、3四半期連続で「業績は予想を上回ったが見通しは下方修正」という決算を発表しました。株価は2024年春のIPO時の初値である117ドルから、40%下落しています。
アイボッタの事業は、どんな経済状況においても理にかなっています。キャッシュバック・プログラムに登録したユーザーは、アイボッタに加盟する小売り店でオンラインまたは対面で買い物をするとポイントを獲得します。
IPO以降、成長が減速
直近四半期で1,530万人のユーザーがポイントを現金と交換したことからも、この仕組みがうまく機能していることが分かります。景気が良ければ、人々は買い物をします。景気が落ち込めば、広告主はアイボッタのような、実際の売上に対してのみ請求されるプラットフォームに集まるはずです。しかし残念なことに、アイボッタはIPO以降、成長が減速しています。
2023年の売上高は前年比52%増でした。その後、2024年第1、第2、第3四半期売上高の前年同期比伸び率は、それぞれ43%、14%、16%に減速しています。ホリデイシーズンで季節的に期待できる第4四半期は1億~1億600万ドルの売上高が見込まれていますが、その中央値でも前年同期比でわずか4%増にすぎません。
テラダイン[TER]
直近2四半期の売上高、前年同期比でプラスに転じる
テラダインの株価は、2024年夏の高値から3分の1近く下落しており、常にチャンスを狙っているウッド氏にとって魅力的な買い場となっているようです。半導体検査装置を製造する同社が低迷し始めたのは2024年7月下旬で、堅調な2024年第2四半期決算発表後に精彩を欠くガイダンスを発表したことがきっかけです。
2024年10月に発表された第3四半期決算は好調で、売上高、利益ともに下方修正後の予想を上回りました。同時に発表された第4四半期の売上高と利益のガイダンスは、レンジの中央値でウォール街の予想とほぼ一致していました。
テラダインは2年連続で2桁台の減収を記録しましたが、直近2四半期の売上高は前年同期比でプラスに転じています。これをチャンスと捉えたのはウッド氏だけではないようです。2週間前、テラダインの取締役会は自社株買いの承認枠を、発表済みの20億ドルにさらに1億ドル上乗せしました。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Rick Munarrizは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコムの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はテラダインの株式を推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。