モトリーフール米国本社、2024年11月5日 投稿記事より

グロース投資家として有名なキャシー・ウッド氏がお気に入り銘柄を追加購入

キャシー・ウッド氏の投資スタイルが活気を帯び始めています。アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)の共同創業者・CEO・投資マネジャーとして同氏が運用する上場投資信託(ETF)の一部は、年初来リターンがようやくプラスになりました。とはいえ、現時点では、同氏は依然として市場を大幅にアンダーパフォームしています。

一方で、ウッド氏は既存ポジションを買い増し続けています。11月4日には、ショッピファイ[SHOP]、メタ・プラットフォームズ[META]、コインベース[COIN]の株式に追加投資しました。各社について詳しく見てみましょう。

ショッピファイ[SHOP]

ショッピファイの株価は2024年の夏に底打ちして以降62%上昇していますが、年初来リターンはようやくプラスに転じたところです。同社が運営するeコマース・プラットフォームは長年にわたり、新進起業家や既存ブランドにデジタル店舗を簡単に開設する方法を提供することで人気を集めてきました。ショッピファイの復活とアーク社のETFの回復が同時に起こったことは驚くことではありません。ウッド氏が運用するETFシリーズ全体で、ショッピファイは最大の保有銘柄だからです。

ショッピファイは11月12日に第3四半期決算を発表する予定です。8月上旬に発表された第2四半期決算が好感されて以降、同社の勢いは続いています。

第2四半期売上高は、前年同期比21%増でした。ホワイトレーベルのeコマースサービスを手掛ける同社にとって、これは過去2年間で最も低い前年同期比増収率でした。しかし、同社は5月の時点で、第2四半期の成長率が10%台後半になると見込んでいました。また、同社は最近ロジスティクス事業を手放しており、既存事業の同条件で比較すれば売上高は24~25%の伸びとなっていたはずです。

利益はさらに好調です。黒字を回復し、フリーキャッシュフローは3倍超に増加しています。ショッピファイはこの1年間、アナリストの利益予想を易々と上回ってきましたが、投資家にとっては十分ではありませんでした。会社側が5月に弱気なガイダンスを提示したことで株価は急落しましたが、3ヶ月後にそれを上回る業績を発表しました。今回はそうした問題はありません。

ショッピファイは、売上高と利益の両面でウォール街のプロの予想を上回っただけではありません。第3四半期に同社の成長は加速する見込みです。期待は大きく、前回の決算発表以降に株価は上昇していますが、ウッド氏は同社がその期待に応えられると考えているようです。そのため同氏は、トップクラスのeコマース企業の現状を確認するために決算発表まで1週間待つことなく、ポジションを追加したと考えられます。

メタ・プラットフォームズ[META]

ウッド氏は、メタ・プラットフォームズについては他社とは違う戦略を取っているようです。Facebook、Instagram、WhatsAppの親会社である同社は先週、第3四半期決算を発表しました。業績は堅調でしたが、好材料よりも悪材料が上回ったのか、ハロウィーン当日に株価は下落しました。

メタ・プラットフォームズが発表したガイダンスは問題含みで、コスト上昇の警告が出されました。もちろん、好材料もあります。メタ・プラットフォームズのリーチは巨大で、プラットフォーム全体のデイリーアクティブユーザー数は32億9,000万人に上ります。これは前年同期比でわずか5%の増加ですが、同社の収益化能力は向上し続けています。売上高は予想を上回る19%増、1株当たり利益(EPS)はその2倍近い37%増でした。

市場の短期的な懸念はチャンスでもあります。売上高成長率は5四半期連続で加速した後に減速したとはいえ、予想株価収益率(PER)22倍を正当化するのに十分な、ハイペースで成長しています。

コインベース[COIN]

暗号通貨投資家にとって、2024年は好調な年であり、ビットコイン(BTC)は年初来で60%超上昇しています。ところが、こうした上昇も最大の暗号通貨取引プラットフォームを運営する企業の株価には反映されておらず、コインベースの株価は年初来で7%の上昇にとどまっています。ビットコインはコインベース上の取引量の37%を占めていますし、もっと好調な暗号通貨もあります。

とはいえ、投資家は文句を言えません。2023年の年初から見れば、コインベースも5倍超に上昇しています。コインベースは、メタ・プラットフォームズと同じ日に第3四半期決算を発表し、メタ・プラットフォームズを上回る成長を記録しました。売上高はほぼ倍増しましたが、利益は苦戦しています。わずかに赤字となった1年前よりは改善して黒字を記録したとはいえ、第3四半期の調整後純利益は第2四半期を下回りました。

ウッド氏は暗号通貨全般、特にビットコインの強い信奉者であり、コインベースは暗号資産の波に乗るためのお気に入りの投資先の1つとなっています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Rick Munarrizは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、コインベース、メタ・プラットフォームズ、ショッピファイの株式およびビットコインを保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。