2024年の「レッド・オクトーバー」は波乱含みの展開に

米国株市場では10月は「レッド・オクトーバー」と呼ばれています。10月はマーケットが急激に下落したり、不安定な動きがみられることがあるため、損失やネガティブな動きを象徴する「赤い」10月という意味で、「レッド・オクトーバー」という表現が使われています。

2024年10月のS&P500の動きについては、月初は前月比で1%を超えて下落して始まりました。その後、前月末比で1.8%のプラスの領域へ入ったものの、最後の2日間で下落し、最終的には0.99%下げて終わりました。S&P500が2024年に入って2度目の月次下落を記録する波乱含みの展開となったのです。前回月次で下落したのは4月で4.16%の下げでした。

10月の最終週に注目を集めたGAFAM(アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META])企業の決算発表を受けて、翌日株価が上がったのはアルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]のみ、他の3銘柄は下落し先週のS&P500を押し下げたことも、10月のS&P500のリターンがマイナスとなった要因の1つでした。

11月5日に米大統領選挙、7日にFRB(米連邦準備制度理事会)の政策決定を控えていることもあり、投資家心理が影響を受け、市場には動揺が見られました。マーケットを下げたのは、こうした非ファンダメンタル要因であると考えられます。S&P500は10月に約1%下落したものの、年間の通算では依然として20%のプラス成長を維持しており、好調な年であることには変わりありません。

総じて好調な第3四半期の決算発表、通信やヘルスケアが堅調

現在第3四半期の決算報告が進行中ですが、結果は総じて好調です。S&P500採用銘柄の70%の企業が業績を発表、そのうち75%が予想を上回るEPS(1株当たり利益)を発表しました。これは過去5年平均の77%にはわずかに届かないものの、10年平均の75%と同じです。

これにより、S&P500の利益の伸びは5.1%を記録し、5四半期連続の増加となりました。セクター的には、特に通信、ヘルスケア、消費者裁量セクターが堅調で、ITセクターの一部の弱いパフォーマンスを補っています。

今週は11月5日の米大統領選挙の結果と11月7日のFRBの政策決定が、市場に影響を与える重要なイベントとなり、こうした不透明感が払拭されれば、リスクオンのムードが再燃する可能性があります。特に、選挙結果が速やかに判明し、FRBの政策姿勢が明確になれば、市場の安定と上昇の余地が広がると期待されます。一方、金利上昇やインフレ圧力といったファンダメンタル要因も、引き続き注視する必要があります。