先週(10月14日週)の振り返り=2週連続で小動き続いた米ドル/円
最大値幅は2円未満にとどまる
先週の米ドル/円は、一時8月1日以来となる150円の大台に乗せる場面があったものの、安値が148.8円、高値は150.3円と最大値幅は2円未満にとどまりました。米ドル/円の週間値幅が2円未満の小幅となったのは、7月第1週以来のことになります。週間値幅は先々週(10月7日週)も2.2円の小幅となり、米ドル/円の小動きが続いた形となりました(図表1参照)。
このような米ドル/円の動きは、基本的には日米10年債利回り差との相関が続いたものでした(図表2参照)。つまり、米9月雇用統計の結果を受けた米利下げ見通し後退の中でも、米金利上昇とそれに伴う日米金利差米ドル優位拡大が限定的にとどまっていることから、米ドル/円も方向感の定まらない小動きになっているということでしょう。
小動きながらも120日MAに接近
ただし、小動きながらも、じりじりと米ドル/円が上値を切り上げる中で、10月18日現在で151.7円まで下落してきた120日MA(移動平均線)に接近してきました(図表3参照)。7月下旬に米ドル/円が120日MAを割り込んだ局面では、ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションは、当時の大幅な売り越し(米ドル買い越し)は急縮小に向かいました。これは、120日MAがヘッジファンドの売買転換点の目安になっている可能性を示すものです。
CFTC統計の投機筋の円ポジションは、10月15日現在で3.4万枚の買い越し(米ドル売り越し)でしたが、120日MAを大きく上回りそうになると、円買い・米ドル売りから円売り・米ドル買いへポジションの転換に向かう可能性があります(図表4参照)。その意味では、日米金利差とは別に、120日MAは米ドル/円のテクニカルな分岐点として注目されるのではないでしょうか。
今週(10月21日週)の注目点=「NFP急悪化」予想が浮上
雇用関連指標への注目度はいつも以上に高まっている
今週は、雇用統計やCPI(消費者物価指数)のような注目度の高い米経済指標発表予定はありません。ただ、最近の雇用関連指標へ過敏に反応する傾向からすると、少し気が早いものの、翌週11月1日発表予定の米雇用統計の話題が注目を集めるかもしれません。というのは、10月雇用統計の中でも、NFP(非農業部門雇用者数)は、前回の25万人増から13万人増とほとんど半減するとの予想が浮上しているからです。
9月FOMC(米連邦公開市場委員会)の0.5%と大幅利下げを正当化したのは雇用の急悪化懸念の可能性があったことです。そのため、雇用関連指標への注目度はいつも以上に高まっている感じがあります。そうした中では、NFPの急減予想がそのまま続くかそれとも変わるかは、マーケットに注目される可能性があるかもしれません。
米国の政策金利と失業率の修正値は相関性が高い
その一方で、私個人は、同じ雇用統計の中でも、金融政策への影響として失業率に注目しています。これは、米国の政策金利と失業率の修正値(失業率-10年MA)の相関性が高いためです(図表5参照)。
この関係を参考にすると、11月1日発表予定の10月失業率が、
1)前回から横這いの4.1%なら利下げ見送り
2)4.2%なら0.25%の追加利下げ
3)4.3%なら0.5%の大幅利下げが連続する可能性がある
という見通しになります。最近の雇用関連指標への過敏な反応を参考にすると、雇用統計予想が相場の変動要因になる可能性もありそうです。
上述の「NFP急悪化予想」が材料視された場合は、米金利低下を通じて日米金利差米ドル優位縮小により米ドル安・円高要因になる可能性が高いでしょう。その場合は、9月の米ドル/円の高値、147.2円を割れるかが大きな分岐点になりそうです。一方、米ドル/円の上値の分岐点は、すでに述べたように120日MAの位置する151円台後半ということになるのではないでしょうか。
今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円程度
以上を踏まえると、米ドル/円の今週の予想レンジは147~152円程度となります。ただ、冒頭に述べたように過去2週間、週間値幅が2円前後の小動きが続き、それは今週も続く可能性があるため、上下の重要分岐点に達しないまま、149~151円中心の小動きになる可能性もあるでしょう。