本内容は2024年9月20日(金)に放映したハッチの米国マーケットセミナーを一部抜粋要約したものです。
9月FOMC後のマーケット動向について
・米国では最後の利上げから1年2ヶ月経ち、待ちに待った利下げが行われた。金利高止まりの状況から緩和的な方向へ。一方で地政学的リスクが高まっており、いつ金融市場にショックを与えるようなイベントが起きてもおかしくない状況に。
・利下げ当日マーケットは無反応、翌日に反応し、S&P500は史上市場最高値を更新した。9月、特に最初の10日間は歴史的に下げやすい。利下げに関して、マーケット参加者のセンチメントは不安定。
S&P500の今後の上昇要因
S&P500をテクニカル分析の視点でみると
S&P500は、7月につけた高値5,650~5,690のラインを7月と8月に高値を抜こうとするが抜くことができなかった。9月11日に5,400~5,390まで下がり、このレベルが下値抵抗線となり、そこでリバウンドして現在上値抵抗線を抜けるところまできている。次の上値抵抗線は5,930、テクニカル的には6,180が視野に入る。マーケットの季節性を考えると、選挙が終わるまではボラティリティも高まるが、6,000を超えてくるのは2024年末くらいと予想。
S&P500のバリュエーションについて
2024年の予想PERは23.2倍と高め、2025年は20.3倍、2026年は18.5倍。今年の23.2倍は高めであることは間違いないが、企業の業績トレンドが上向きであることを注意深く確認する必要がある。今後徐々にPERが下がっていくこと、また利下げのサポートがあることを考慮すれば、現在のPERはそこまで割高とは言えない。
MMFとS&P500の意外な関係
MMFの残高はまだピークをつけておらず、現在の残高は6兆ドルを超えている。2000年から現在のデータをみてみるとFFレートが下がってくると、MMFの残高がピークをつける、その後S&P500が徐々に上昇していたことが分かる。MMFの残高がピークをつけると、一部の現金は株へ流れるため株価が上昇する傾向が見られる。
利下げ後のS&P500の動きから今後の動向を予想する(1973年からのデータより)
3ヶ月後マイナス0.5%、半年後2.9%、9ヶ月後3.3%、1年後3.5%上昇となっている。大きなネガティブなイベント(リセション、バブル崩壊等)が無い限り、利下げ1年後には上昇の傾向にある。
S&P500、米国企業業績(EPS成長率)予想
2024年のS&P500が大きく上昇したのは理由の一つは好調な企業業績と解釈。決算発表前の事前予想と比較して実績の方が良かったという良い展開。第3四半期の予想は5.1%となっており、数字が低い様に見えるが、前年同期比のため、2023年第3四半期が好転していたことが理由で減益ということではない。今後の上昇要因は好調な企業業績と金利の低下となるだろう。
米国大統領選挙がマーケットに与える影響
・選挙を取り巻く状況は波乱万丈
・世論調査ではハリス氏49%、トランプ氏47%(2024年9月19日時点)
・誰が大統領になるか予想、ハリス氏57%、トランプ氏46%(2024年9月19日時点)
・トランプ・メディア&テクノロジーズ・グループ[DJT]について
・大統領選4つの争点は、①貿易、②移民、③規制、④財政政策
関連レポ―ト:米国大統領選が米国市場に与える影響【前編】~政策編~(2024年9月20日公開)
・大統領と議会の組み合わせでS&P500のパフォーマンスが最も良いのはある2つの組み合わせパターンでパフォーマンスはそれぞれ16%
・政党がどちらになるかよりも、EPSの成長(S&P500企業の業績がプラスになる)のほうが株価とっては重要というデータがある
関連レポ―ト:米国大統領選が米国市場に与える影響【後編】~大統領・議会構成よりも大切なこと~(2024年9月21日公開)
大統領選挙年に関連する、以下のマーケット動向について
①全ての大統領選挙年の平均リターン
②1928年以降すべての年の平均リターン
③前年にS&P500が10%以上上がった翌年の大統領選の年のリターン
④2024年のパフォーマンスが過去の大統領選挙年比較して良くなっている理由は、AIテーマであるエヌビディア[NVDA]の上昇に加えてGFAMが強かった、利下げ期待などが挙げられる。
大統領選年のS&P500の月毎の季節性
今後、S&P500がプラスになる確率は、9月は50%、11月は58%、12月は83%。平均リターンは、9月はマイナス0.46%、11月は1.14%、1月は1.15%、となりイヤーエンドラリーが予想される。
大統領選挙の年の月間平均ボラティリティ(VIX指数)
大統領選年のマ―ケットは、11月の選挙月まで徐々に上昇し12月になると落ち着く傾向がある。7月から11月まではボラティリティが高まり乱高下しやすくなる。筆者はS&P500の2024年末のターゲット5,700を予想したが、すでに超えており、おそらくまだ上がるのではと考えている。
マグニフィセント7の今後の動向
・筆者はGAFAM+TN(アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン[AMZN]、メタ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA])が今後も上昇すると考えている。これらの企業は当然のことだが別の企業であり、ビジネスモデル、成長ストーリー等も違うので、横並び上昇するというわけではない、それぞれ上がるタイミングは違ってくるだろう。
・過去10年間、各MAG7銘柄が高値を付けてからの平均下落率は、エヌビディア[NVDA]はマイナス15%、最大下落率はマイナス66%、テスラ[TSLA]の平均下落率は25%、最大下落率は74%となっている。アップルやマイクロソフトと比べると上昇も大きいが下落も大きい。各企業がグロースストーリの中での大きな調整を経験している。
質疑応答(事前質問)
お客様から事前に受けた質問について以下の通り、動画内で回答しています
・2000年代の米国株が不調だった理由は?
・S&P500より高配当株への投資のほうが良いのか?
・ジュミア・テクノロジーズ[JMIA]の決算レビューをお願いします。
・コアサテライト戦略での、サテライトの個別銘柄の売買タイミングについて
・NISAで米国株を始めたいと考えていますしかし、株価が上昇し高水準となっているように感じ、投資タイミングの考え方が難しいです。暴落を待つしかないですか?
・ADR高配当銘柄について教えてほしい(また米国銘柄スカウターでの検索方法について)