第1四半期は2022年以来の低調なパフォーマンスに
先週(3月24日週)の米国株式市場は、インフレ再燃と新たな関税への懸念が重なり、全体的に軟調な展開となり、S&P500は1.53%下落しました。
第1四半期も残すところ1営業日です。先週末時点で5.11%の下落となっており、このまま推移すれば、2022年第3四半期以来、最悪の四半期パフォーマンスとなる見込みです。ハイテク株の比率が高いナスダック100は2.39%の下落となり、四半期ベースでは8.24%の下落に。こちらも2022年第2四半期以来、最も低調な成績となりそうです。
一時の安心感も束の間、PCEと長期インフレ期待が市場を再び揺らす
先週の週明け月曜日(3月24日)は、トランプ米大統領が予告していた新関税が一部製品に限られるのではという見方が広がり、市場には一時的な安心感が戻りました。S&P500も1.8%上昇し、好調なスタートを切りました。しかし、水曜日に発表された2月のPCE(個人消費支出)コア価格指数が予想を上回り、インフレ再加速への懸念が浮上。加えて、ミシガン大学の調査による長期インフレ期待も32年ぶりの高水準に達し、投資家心理は一気に悪化しました。
さらに、トランプ氏が予告を前倒しして、自動車および関連部品に25%の新関税を発表したことが市場に衝撃を与え、ゼネラルモーターズ[GM]は6.3%下落し、関連銘柄にも波及しました。こうした一連の材料を受けて、月曜日時点で17.48だったVIX(いわゆる「恐怖指数」)は金曜日に21.65まで急上昇して引けました。
前週末に4.2462%だった米10年債利回りは、株高とともに週明けに一時4.3594%まで上昇。その後、株価が下落するとリスク回避のムードが強まり、安全資産への資金シフトが起き、最終的には4.2494%まで低下しました。金利も株価も方向感を欠き、不安定な相場環境が続いています。
注目のAIインフラ企業コアウィーブ[CRWV]のIPOは公開価格割れで市場に冷水
先週、久々の大型IPOとして注目されたコアウィーブ[CRWV]ですが、公開初日(3月28日)に株価が公開価格を下回り、市場心理に冷や水を浴びせる形となりました。
コアウィーブは、エヌビディア[NVDA]の最新GPU(H100、A100、L40Sなど)を時間単位・月単位で顧客に貸し出すAIクラウドインフラ企業です。当初、IPO価格は47~55ドルのレンジで設定されていましたが、需要の弱さを理由に、発行株数は4900万株から3750万株へ縮小され、価格も40ドルへと引き下げられました。その結果、資金調達額は当初予定の25億ドルから15億ドルに減少しました。
コアウィーブの上場初日、株価は午後に一時37.46ドルまで下落したものの、その後41.94ドルまで反発。最終的には公開価格と同じ40ドルで取引を終えました。仮に1週間前の株高局面で上場していれば、より高い価格で値決めされ、上場後の株価も好調なスタートを切っていた可能性が高いと思います。
企業の本質的な価値が変わらない中、関税からくる市場センチメントの悪化によってここから株価が上がらない現在の状況は、長期投資家にとっては好機と捉えられるかもしれません。
「不確実性の解消」がリスク資産に追い風となる可能性も
今週(3月31日週)の注目指標は、4月4日(金)に米労働省が発表する3月の雇用統計(非農業部門雇用者数)です。これは、FRB(連邦準備制度理事会)が今後利下げに踏み切るかどうかを判断する上で極めて重要な指標であり、市場の注目度も非常に高まっています。
加えて、4月2日(水)には、米国の新たな関税政策の詳細が発表される予定です。これまで世界の投資家のリスク回避姿勢を強めてきた関税問題ですが、3月の全米個人投資家協会(AAII)のブル・ベア・レシオは、2022年9月以来の水準まで悪化しており、センチメントはかなり悲観的な水準にあります。
これだけ悲観的な状態であれば、投資家はすでに多くの悪材料を織り込んでおり、逆に「不確実性の解消」はポジティブサプライズとして受け止められる可能性もあります。発表内容次第では、市場の反発のきっかけになりうる重要なイベントです。