モトリーフール米国本社、 2024年3月10日投稿記事より

ゲイツ氏が積極的に保有するのは

億万長者は配当株を好みます。著名投資家であるウォーレン・バフェット氏やケン・グリフィン氏の投資対象銘柄を見れば明らかです。彼らは多くの配当銘柄を保有しています。

また、この点においては、ビル・ゲイツ氏は際立っています。同氏はバフェット氏やグリフィン氏のように上場企業やヘッジファンドを経営しているわけではありませんが、ビル&メリンダ・ゲイツ財団信託に多額の寄付をしています。そして、この慈善財団が保有する420億ドルに上るポートフォリオのうち、半分以上が以下の配当株3銘柄に投資されています。

マイクロソフト[MSFT]は10年で配当168%増

マイクロソフトがゲイツ氏のお気に入り銘柄であることには、誰も驚かないでしょう。ゲイツ氏はポール・アレン氏と共にマイクロソフトの共同創業者であり、長年にわたって同社を率いてきました。マイクロソフトは、ゲイツ財団信託の保有株の中で断トツのトップであり、2023年末時点でポートフォリオ全体の33.98%を占めています。

ハイテク企業の多くは無配当ですが、マイクロソフトは例外です。同社は2003年に配当を開始し、過去10年間で配当額は約168%増加しています。それでも、配当利回りはわずか0.74%にすぎません。

配当利回りがこれほど低い理由の1つは、株価の上昇です。マイクロソフトの株価は過去10年間に10倍に上昇しており、直近1年だけでも60%近く上昇しています。

カナディアン・ナショナル・レールウェイ[CNI]は28年連続増配

ゲイツ財団の投資先は、マイクロソフトのようなハイテク企業ばかりではありません。カナディアン・ナショナル・レールウェイは3番目に大きい保有銘柄で、ポートフォリオ全体の約16.3%を占めています。

カナディアン・ナショナル・レールウェイの事業はカナダにとどまらず、総延長2万マイルほどの鉄道網を通じて、米国中部にも物資を輸送しています。鉄道事業に加えて、同社は輸送や物流のサービスも提供しています。

同社は28年連続で増配しており、最近では2024年第1四半期に7%の増配を実施しました。足元の配当利回りは1.94%です。

キャタピラー[CAT]は29年連続増配

機器メーカーのキャタピラーは、ゲイツ財団のポートフォリオの中で5番目に大きなポジションであり、全体の5.14%を占めています。これら3社を合計すると、全体の55.41%になります。

ゲイツ財団は、2005年第4四半期からキャタピラー株を保有していますが、最後に購入したのは2013年第4四半期です。キャタピラーに関する最も新しい取引は2022年第1四半期で、財団は保有する持ち分の約24%を売却しました。

キャタピラーは長年にわたり、ゲイツ財団に大きな配当収入をもたらしています。同社は1933年以降、四半期配当を欠かさず支払っており、しかも29年連続で増配しています。足元の配当利回りは1.55%です。

個人投資家には参考になるのか

億万長者が保有しているという理由だけで、その銘柄を購入するのは賢い考えではありません。なぜなら、億万長者がその銘柄を初めて購入した時と今では、状況は大きく変わっている可能性があるからです。

インカム投資家にとって、マイクロソフト、カナディアン・ナショナル・レールウェイ、キャタピラーよりも魅力的な配当株はたくさんあります。バリュー投資家も同様で、より良い選択肢があるはずです。

では、グロース投資家にとってはどうでしょうか。カナディアン・ナショナル・レールウェイとキャタピラーはリストから外してもいいでしょう。しかし、マイクロソフトは主に生成人工知能(AI)の普及に伴って驚異的な成長が予想されます。とは言え、そうした成長見通しも株価には十分に織り込まれており、予想株価収益率(PER)は31倍を超えています。それでも、マイクロソフトは依然として、長期志向のグロース投資家にとって検討する価値がありそうです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Keith Speightsは、マイクロソフトの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はカナディアン・ナショナル・レールウェイの株式、および以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、同2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。