モルガン・スタンレー[MS]決算:1株利益は0.85ドルで市場予想を下回る
モルガン・スタンレーは、世界有数の投資銀行で、その歴史は前身となる会社が設立された1924年にまで遡る。事業は、機関投資家向け証券部門、ウェルス・マネジメント部門、投資運用部門で構成され、さまざまな金融商品やサービスを事業法人、政府系機関、金融機関や個人に提供している。2022年末時点の顧客資産はおよそ4兆ドルにのぼり、従業員数は全世界でおよそ8万人を超える。純営業収益の約50%は機関投資家向け証券事業、残りをウェルス・マネジメント事業と投資運用事業が占める。米国外の拠点の純営業収益が全体のおよそ30%を占めている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(10月-12月期)実績
★収入・・・前年同期比1.2%増の128.96億ドル(市場予想は127.49億ドル)
★1株当たり利益・・・0.85ドル(市場予想は1.07ドル)
決算総括
10-12月期(第4四半期)売上高は予想を上回ったが、調整済みEPSは予想を下回った。同銀の主力部門であるウェルス・マネジメントが引き続き好調だった一方、トレーディング部門は株式、債券・為替・商品(FICC)とも予想範囲内となった。1株利益が大幅な減益となり予想も下回ったが、これは2023年の地銀破綻に伴う米連邦預金保険公社(FDIC)の特別評価額に対する同行の負担分で1株0.28ドルの一時費用が発生しため。
今後の株価見通し
当面底値模索の動きとなろう。
ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]決算:1株利益は3.97ドルで市場予想を上回る
ジェイピー・モルガン・チェースは、4兆ドル近い資産を有する米国最大の複合金融機関の1つである。コンシューマー&コミュニティ・バンキング、コーポレート&インベストメント・バンキング、コマーシャル・バンキング、アセット&ウェルス・マネジメントの4つの主要部門からなる。複数の国で規制下で事業を展開している。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(10月-12月期)実績
★収入・・・前年同期比12%増の399.43億ドル(市場予想402.29億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・3.97ドル(市場予想3.62ドル)
決算総括
10-12月期(第4四半期)売上高は予想を下回ったが、調整済みEPSは予想を上回った。純受取利息(NII)は予想を上回った。7四半期連続で記録的なNIIとなった。また、トレーディング部門は予想を下回ったものの、債券・為替・商品(FICC)は予想を上回った。また、2024年のNIIの見通しが約900億ドルと予想を上回った。
今後の株価見通し
株価の深押しはあるまい。
ウェルズ・ファーゴ[WFC]決算:1株利益は1.29ドルで市場予想を上回る
ウェルズ・ファーゴは、米国の最大手銀行のひとつである。総資産額はおよそ1.9 兆ドルに上る。事業は、リテイル銀行部門、商業銀行部門、企業・投資銀行部門、ウェルス・資産運用部門の4つの主要部門を通じて展開されている。事業のほぼ全てが米国に焦点を当てている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(10月-12月期)実績
★収入・・・前年同期比4%増の204.78億ドル(市場予想は203.46億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.29ドル(市場予想は1.06ドル)
決算総括
10-12月期(第4四半期)売上高、調整済みEPSはともに予想を上回った。コストが予想以上に膨らんだ。退職費用を10億ドル計上したほか、2023年の地銀破たんを受けた米連邦預金保険公社(FDIC)の基金補充への拠出金19億ドルも計上した。1株利益は予想通りではあったものの大幅な減益となった。それらの費用を含まない調整後の1株利益は予想を上回っている。一方、今年通期の純受取利息(NII)の見通しは最大で9%減少する可能性を見込み、予想の6%減を上回る減収見通しを示している。
今後の株価見通し
当面底値模索の動きが見込まれる。
シティグループ[C]決算:1株損失は1.16ドルで市場予想を下回る
シティグループは、100を超える国と地域で事業を展開するグローバルな金融サービス会社である。機関投資家顧客グループ、パーソナルバンキングおよびウェルスマネジメントグループの2つの主要部門からなる。主な業務は、米国での多国籍企業に対する国境を越えた銀行業務、投資銀行業務およびトレーディング、ならびにクレジットカードサービスである
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(10月-12月期)実績
★総収入・・・前年同期比3%減の174.40億ドル(市場予想は186.81億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.16ドルの赤字(市場予想は0.78ドル)
決算総括
10-12月期(第4四半期)売上高、調整済みEPSはともに予想を下回った。トレーディング部門では債券・為替・商品(FICC)が冴えなかったほか、投資銀行も予想を下回った。一方、純受取利息(NII)は138億ドルと予想を上回ったものの、通期については緩やかな減収を見込んでいる。
今後の株価見通し
株価は、下値固めから65ドルを目指す展開を見込む。
ゴールドマン・サックス[GS]決算:1株利益は5.48ドルで市場予想を上回る
ゴールドマン・サックスは、世界有数の投資銀行および資産運用会社である。インベストメント・バンキング(純営業収益の約20%)、グローバル・マーケット(45%)、アセット・マネジメント(20%)、コンシューマー・アンド・ウェルスマネジメント(15%)の各部門からなる。純営業収益のおよそ60%を米国、15%をアジア地域、25%を欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域で得ている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(10月-12月期)実績
★純収入・・・前年同期比7%増の113.18億ドル(市場予想は108.42億ドル)
★1株当たり損益(一部項目を除く)・・・5.48ドル(市場予想は4.14ドル)
決算総括
2023年10-12月期決算は純利益が前年同期比51%増の20億ドルだった。株式のトレーディング業務が好調で、2021年7-9月期以来9四半期ぶりの増益になった。利益水準自体はまだ低いが、過去2年間に及ぶ業績悪化に一定の歯止めがかかった。
今後の株価見通し
2024年はゴールドマンにとって強力な年になる可能性がある。赤字の消費者向け事業の多くを手放したことで、スリム化されたゴールドマンは、最も得意とする投資銀行業務に集中できるようになる。金利が正常化すれば、取引活動やIPOが再開され、株価は再び活況を呈し、ゴールドマンの株価上昇も見込めよう。今年は銀行にとって困難な年になるかもしれないが、チャンスも豊富にある。株価は400ドル超えから、530ドルを目指す展開が見込まれる。