政策金利は2会合連続で据え置き、利下げは「考えていない」と否定

現地時間11月1日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場想定通り、2会合連続で利上げを見送り据え置きとなりました。

また公表された声明文では、これまで信用状況の引き締まりに言及していましたが、今回新たに金融環境の引き締まりを指摘しつつ、インフレリスクに細心の注意を払うというスタンスは維持されています。

会見では、米長期債利回りの急上昇で金融環境が引き締まっていることを認め、金融引き締め局面が終了した可能性を示唆しています。ただしインフレ率を目標の2%に戻すうえで、「金融政策が十分に景気抑制的かは確信が持てず、成長の上振れや労働市場の堅調さが続く兆候が見られる場合に追加利上げが正当化される」との発言もありました。なお、利下げについては全く考えていないと否定しました。

市場は株高・金利低下で反応、今後の焦点は実体経済の鈍化度合に

市場は記者会見で利上げの効果が表れているなどのハト派スタンスを受け、株高・金利低下で反応しています。市場予想では今後の政策金利について利上げは予想されておらず、2024年の6-7月から緩やかな利下げ局面に入るとの見立てです。

これまで長期金利上昇に繋がった需給や財政・議会の問題には引き続き注意が必要ですが、5%近辺の長期金利は金融環境の引き締めに繋がり、景気を抑制することからやがて金利低下圧力につながるでしょう。利上げが終了した可能性とともに長期金利にも天井感が感じられます。

改めて、利上げ最終局面を振り返ってみると長期金利はピークアウトの傾向が強く、株式市場は振れを伴います。その後景気が悪化し断続的な利下げ局面となる際には株価は調整するなど、やはりファンダメンタルズが重要です。今後市場の焦点は、金融政策のスタンスから実体経済の鈍化度合いに移っていくことでしょう。