3月期末恒例の配当落ちでトレンドに影響は出るのか?
前回のコラムでは「5日移動平均線上を維持できるかが、反発継続の重要なカギになる」と解説しました。また「上向きに変化した5日移動平均線上を維持するようなら、下向きの25日移動平均線をいずれ上回ることが考えられます」とも解説しましたが、上ヒゲや陰線が目立つものの、かろうじて上向きの5日移動平均線上を維持して3月25日の取引を終えています。
そうしたなか、今週は3月期末恒例となるイベントがあります。日経平均株価の配当落ちです。日経平均は225銘柄で構成される指数ですが、この225銘柄のなかで3月期末に配当を実施する企業の配当金を受け取る権利の期限が過ぎると、その配当分だけ日経平均は機械的に株価が引き下げられます。それが配当落ちと呼ばれるものです。
3月は、3月27日が配当金や株主優待を受け取ることができる権利付最終売買日で、翌28日が権利落ち日となり、225銘柄の予想配当分だけ株価が下落する仕組みになっています。そのため、27日にいくら株価が上昇して終えても、28日には予想配当分だけ強制的に下がってしまうため、テクニカル分析でもこうした動きを考慮しなければいけません。
そこで、今回の予想配当がどのくらいの金額なのかですが、株主還元が盛んな昨今では配当落ちで300円超、日経平均を押し下げると試算されています。こうした状況から、5日移動平均線上を維持するためには、権利付最終売買日に、5日移動平均線より300円超値上がりして終えておく必要があることになります。
一方で、配当落ち日となる3月28日の終値が前日比変わらずとなれば、配当落ち分を埋めたことになるとともに5日移動平均線上を維持する可能性が高まり、反発期待が継続すると考えられます。その反面、配当落ち分より下落して終えるようなら、前日の終値が5日移動平均線より配当落ち分だけ上昇して終えていても、結局5日移動平均線を下回ることになり、下降トレンド発生への警戒が必要になると考えられます。

配当落ちによるモメンタムへの影響と見方について
モメンタムについてはどのような影響があるのでしょうか。モメンタムへの影響ですが、これも配当落ち分の300円超値下がりしたまま埋められないようなら、配当落ち分やそれ以上のモメンタムの低下が考えられ注意が必要になります。
3月25日終値時点のモメンタムを見ると、緩やかな上昇が続くとともに上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回って推移しており、上昇の勢いが徐々に強まっていると考えられます。配当落ちの影響でモメンタムが低下したり、配当落ち後もモメンタムが低下して0ラインを割り込んだ状態が続いたりするようなら、5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなることが考えられます。買いポジションを持っている投資家は下降トレンドの発生に注意が必要になるでしょう。そのため、配当落ち後のモメンタムの向きと水準に注意し、売買判断に役立てるようにしたいところです。