政策金利は4.25-4.50%で据え置き

現地3月19日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利は4.25-4.50%で据え置きとなりました。声明文では、新たに経済見通しについて不確実性が上昇しているとの言及があり、4月から米国債保有の縮小ペース(量的引き締め)を月間250億ドルから50億ドルに減速させることも発表されました。なお、投票に際して、ウォラー理事が量的引き締めの減速に反対票を投じています。

今回は3ヶ月に1回の経済予想が示されています。GDPおよび失業率は前回12月時点の予想から下方修正されました。

【図表1】GDP/失業率
出所:FRBよりマネックス証券作成

同時に公表された物価見通しは上方修正されています。

【図表2】物価/コア物価の見通し
出所:FRBよりマネックス証券作成

FOMCメンバーの政策金利見通しは大きく割れる結果に

そして、FRB当局者による政策金利見通しです。中央値では前回から変化はありません。

【図表3】政策金利予想
出所:FRBよりマネックス証券作成

一方、FOMCメンバーの政策金利見通し分布が図表4のドットチャートです。2025年は据え置きが4名、1回利下げが4名、中央値である2回利下げが9名でした。3回を予想する市場より利下げには慎重に見えますが、2026年には市場予想と同程度となっており、おおむね市場とのギャップはありません。ただ、2025年、2026年ともに当局者の見通しは大きく割れているのが分かります。この点が今後も金利変動要因として意識されます。

【図表4】FOMCメンバーの政策金利見通し (黄:ドットチャート、緑:予測中央値、白:金利先物市場の予想)
出所:Bloomberg

パウエル議長「インフレ率の上昇は一過性」、相場は落ち着きどころを探る展開

会見でパウエルFRB議長は、経済は健全であることを強調、リセッションの確率も高くないとしました。トランプ政権の関税政策によって不確実性が高まっていることを認めたものの、経済への影響が明確になるのを待つことが可能としています。また、関税に反応したインフレ率の上昇については一過性との認識も示しています。

次の一手が利下げながら、不確実性がある程度晴れるまで様子見の姿勢です。量的引き締めペースの減速は、政府債務への懸念が続く中で、流動性を供給する緩和効果があるように、経済への配慮の姿勢が感じられます。

FOMCが経済・インフレの軌道に波乱の可能性は低いとみており、懸念が生じれば利下げに踏み切る姿勢はマーケットの支えとなるでしょう。ただし、政権側も短期的に経済はデトックスの時期に直面すると言うように、経済政策の不透明感と相場変動は予断を許しません。当面はそちらに注目でしょう。政策不確実性への慣れとともに、相場も落ち着きどころを探る展開となりそうです。