下落が続く中、10月24日に長い下ヒゲを形成して終了

前回のコラムで解説した時点では、上向きの5日移動平均線の下で十字足を形成しているところまでの値動きでしたが、その後、10月19日に下方向に窓をあけて株価が動き始めたことによって、それまで上向きだった5日移動平均線が下向きに変化したことに加え、日経平均も下落が続く展開となりました。

そのような中、前日までの3日続落の反動で10月24日は反発して始まりました。その後、売り込まれるとともに10月4日の安値に接近する場面がありましたが、取引終了にかけて値を戻して4営業日ぶりの反発となったことに加え、長い下ヒゲを形成して終えているのが分かります。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

下ヒゲ陰線の古典的解釈

長い下ヒゲの意味を理解するためには、取引時間の値動きをイメージする必要があります。ローソク足は始値、高値、安値、終値の4つの価格から作られていますが、始値よりも終値が低ければ陰線、始値よりも終値が高ければ陽線となります。

この場合の陰線は売りのエネルギーが強いことを示し、陽線は買いにエネルギーが強いことを示します。また、高値と始値や終値、安値と始値や終値の関係については、高値と始値や終値の差(=ヒゲ)が長ければ長いほど、取引時間中は高かったものの、取引終了にかけて売り物に押されたことになり、売りのエネルギーが強いと判断します。

一方で、安値と始値と終値の関係は高値の時とは逆で、安値と終値や始値との差(=ヒゲ)が長いほど買いエネルギーが強いと判断します。

これがローソク足のヒゲに対する判断で、私はこれをローソク足の「古典的解釈」と呼んでいます。この古典的解釈は解釈通りに動くこともあれば、そうならないこともあり、ヒゲの長いローソク足だけで判断するのは避けた方が良いと考えています。
そこで、ローソク足の判断と一緒に活用したいのがモメンタムです。

モメンタムの向きが今後を左右する

10月24日のローソク足が長い下ヒゲを形成していることから、買いエネルギーが強いと判断できるため、底入れなのではと考える投資家も多いと思います。しかし、モメンタムを見ると判断が異なってきます。なぜなら、モメンタムは底入れを示唆する形になっていないためです。

同様に10月24日までのモメンタムを見ますと、株価は下ヒゲ陰線を形成しているにもかかわらず、モメンタムとその移動平均線であるシグナルが下向きになっていることに加え、2本線ともに上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って終えているのが分かります。

このような状況から、長い下ヒゲを形成しているものの下落の勢いは低下しておらず、むしろ2本線が0ラインを割り込んだことで、下落の勢いが強まっていると判断できるわけです。

そのため、今後2本線が上向きに変化するとともに、0ラインを上回って上昇することが本格的な底入れのカギを握っていると考えられるのです。

仮に2本線の低下が続くようですと、200日移動平均線に接近したり、下回ったりすることが考えられるのではないかと思われます。

ローソク足の形(陰線、陽線など)は投資家心理や買いや売りのエネルギーを判断するのに有効と考えられるものの、その判断の精度を上げるためには、単体で使うことに加え、モメンタムを補足的に活用することで、さらに精度を上げることに繋がるのではないかと思われます。