日本株は米国株につれ安しない
今週は、先般のFOMCを受けて下落した後の落ち着きどころを探る展開となる。金利上昇は株価の重荷だが、日本では当面、金融緩和が維持される見通しであることが日本株の支えになる。日銀は22日に開いた金融政策決定会合で、金融緩和政策の現状維持を決めた。決定会合の結果が伝わった同日の午後に、日本株は下げ幅を縮小。TOPIXはいったん前日比プラスに転じる場面もあった。植田・日銀総裁は金融政策を修正する時期について「到底決め打ちできない」と述べ、早期の政策変更観測をけん制した。日本の低金利は当面維持され、為替もまた円安が続くだろう。こうしたことから日本株がこれ以上、米国株に連れ安する理由はない。
日経平均が軟調となる需給要因
波乱の芽は国内の需給絡みの要因だ。27日が権利付き売買最終日、28日が権利落ち日である。QUICKによれば配当落ちは日経平均で約224円、TOPIXで約19.6と試算されている。配当落ちに際して、インデックス運用者は配当込み指数に運用パフォーマンスを連動させるため配当落ち分の再投資を行う。実際に現金配当が入ってくるのは、まだ先なのでそれまでの間は先物を買い建てる。市場の推計では日経平均先物で約1500億円、TOPIX先物で約9000億円の買いが見込まれている。また、28日の大引けでTOPIXの浮動株比率調整と29日に日経平均の定期入替がある。日経平均の入れ替えに伴うリバランスで、4000~5000億円程度の売りが出るとの観測がある。例年、9月の権利落ち週の日経平均のパフォーマンスは悪いが、今年の需給要因を考えても日経平均は軟調か。一方、TOPIX優位は継続するだろう。
もうひとつの波乱材料は為替介入の有無。心理的な節目となる1ドル150円に近づくなか、政府による円安けん制も入るだろう。為替介入への警戒から、急速に円高が進むリスクがあることは念頭に置いておきたい。
米国の持ち直しに繋がるか、PCE物価指数に注目
今週の経済指標は主だったものがないが、29日に発表される米個人消費支出(PCE)物価指数には注目が集まる。CPI同様、落ち着きを示す結果となれば、金利上昇一服となって米国株の持ち直しにつながるだろう。
予想レンジは3万1900円~3万2800円とする。