モトリーフール米国本社、2023年8月12日 投稿記事より

主なポイント

・収益性の改善がアマゾン・ドットコム[AMZN]の株価を押し上げている
・クラフト・ハインツ[KHC]の株価は割安で、かつ配当利回りも高い
・ゼネラル・モーターズ[GM]の株価は格安の水準で推移しており、EV分野では賢明な投資を行っている

今後、上昇するかもしれないウォーレン・バフェット銘柄

バークシャー・ハサウェイのCEO、ウォーレン・バフェット氏が史上最高の投資家と言われるのには理由があります。1965年から2022年にかけて、バフェット氏が下した投資判断は、株主に3,787,464%の累積リターンをもたらしました。退職に備えた分散ポートフォリオに、バークシャー・ハサウェイが保有する銘柄をいくつか加えれば、ポートフォリオの完成度は間違いなく高まるでしょう。

最近、モトリーフールの3人の寄稿者がバークシャー・ハサウェイの保有銘柄を徹底的に調査し、今買うべきタイムリーな銘柄を捜し出しました。その結果はアマゾン・ドットコム[AMZN]、クラフト・ハインツ[KHC]、ゼネラル・モーターズ[GM]の3銘柄で、以下にその選択理由をまとめました。

アマゾン・ドットコム[AMZN]が軌道に戻る

業界での優位性、増加する売上高、堅調な利益という長年にわたる実績にも関わらず、投資家は2022年、長期的な勝者であるアマゾン・ドットコムに幻滅しました。市場が長期的な視点ではなく短期的な視点に注目している時こそ、投資家にとってのチャンスです。

確かに2022年はアマゾン・ドットコムにとって厳しい1年となり、パンデミック初期に叩き出した並外れた成長率によって売上高のベース効果に直面し、過剰なインフラに対処し、インフレにも苦労しました。さらに、10年ぶりに通期で純損失を計上しました。

しかし、急速に事態を収拾し、2023年は今のところ力強い進展を見せています。アマゾン・ドットコムはコストを抑制することで、純利益を再びプラスに戻しており、売上高も伸び続けています。2023年第2四半期には、売上高が前年同期比で11%増加し、5~10%増を見込んでいた同社のガイダンスを上回り、営業利益も前年同期の33億ドルから77億ドルに増加しました。

アマゾン・ドットコムは新商品や新サービスの投入、新規事業の買収においても隙がありません。同社は最近、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の顧客向けに、新たな生成人工知能(AI)サービスの提供を打ち出し、2月にはワン・メディカルのヘルスケア・サービスの買収を完了させました。同社のCEOであるアンディ・ジャシー氏は、Amazon Pharmacyの顧客は1年間で倍増し、ワン・メディカルについては今のところ、「そこで起きていることに勇気づけられている」と述べています。

アマゾン・ドットコムの成功のいくつかは、顧客への配達をより早く、より安くしたことに起因します。同社は流通網を再構築して、より多くの顧客により近い場所により多くの商品を配置し、配送1回当たりのタッチポイントの回数を20%減少させました。地方への配達がより早く、より安くなったことで、地方配達が占める割合は76%と10%増加しています。

アマゾン・ドットコムは、事業を拡大し、新たな分野で優位に立ち、そのすべてを効率的に行うことで、今後も勝ち続けることでしょう。株価は年始からすでに66%上昇していますが、今後の可能性は非常に大きいとみられます。

クラフト・ハインツ[KHC]は生活必需品セクターの掘り出し銘柄

主要消費者向けブランドにとって、厳しい1年となっており、インフレが売上高と利益に打撃を与え、クラフト・ハインツもその例外ではありません。過去1年間で株価は9%下落していますが、CEOのミゲル・パトリシオ氏は有望な立て直し策を導いています。

バフェット氏の典型的な投資手法により、バークシャー・ハサウェイはクラフト・ハインツの株式を近年のアンダーパフォームにも関わらず保有し続けています。バフェット氏は以前、クラフト・ハインツ株を選好する主な理由として、同社の主要ブランド(特にJell-O、Velveeta、Oscar Mayerなど)に言及しています。同社の最近の成長率と収益性の改善は、バフェット氏の忍耐強さの賜物とみられます。

クラフト・ハインツは2023年の第2四半期に、売上高と利益の伸び、および利益率の拡大を報告しました。調整後売上高は前年同期比4%増、1株当たり調整後利益(EPS)は利益率の改善により同13%増となりました。同社は外食、新興国市場、米国内小売りの全般で成長を記録し、これは、同社のトップブランドに対する幅広い需要の表れだと言えます。

クラフト・ハインツは、第2四半期に市場シェアを落としましたが、経営陣は当四半期の売上モメンタムは毎月勢いを増していたことを指摘しており、下半期は好調となるものと期待されます。

クラフト・ハインツを選好するもう1つの理由は配当です。同社の配当利回りは足元で4.64%と平均を超えています。バリュエーションの面でも魅力的で、同社の予想株価収益率(PER)は市場平均の約半分の12倍と比較的低い水準で推移しています。まさにバーゲン価格の銘柄です。売上高と利益がさらに伸びれば、市場で再評価されてPERが上昇し、結果的に市場予想を上回るリターンにつながる可能性があります。

過小評価された自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ[GM]

ゼネラル・モーターズは株式市場においては大きな勝利を収めていませんが、バフェット氏の投資アプローチを代表する上で、この銘柄に勝るものはありません。ゼネラル・モーターズは、自動車の歴史とほぼ同じくらい長い歴史を持つ一連のブランドを有しています。同社は、シクリカル産業で一貫した利益を上げているにも関わらず、バリュエーションはPERが6.5倍と格安の水準で推移しています。

また、ゼネラル・モーターズは次世代の自動車産業をリードすべく賢明な投資を行っており、多数の電気自動車(EV)モデルを展開する予定で、クルーズAV部門は、自動運転車の最先端にEVモデルを掲げています。

ゼネラル・モーターズは、売上高が前年同期比25%増の447億ドル、純利益が同7%増の50億ドルと、好調な第2四半期決算を公表したばかりです。同社は、純利益を93億~107億ドル(EPSで7.15~8.15ドル)と見込み、84億~99億ドルの前回予想レンジから通期ガイダンスを引き上げました。そのため、今年の予想EPSに対して、PERはわずか5倍程度で推移していることになります。

EV専業銘柄は市場においてプレミアム価格で取引されており、ゼネラル・モーターズの事業がEVにシフトするにつれ、そのプレミアム価格の一部を享受できるでしょう。同社は上半期に、北米で5万台を超えるEVを生産しており、リビアン・オートモーティブやルーシッド・グループといったEV専業企業をリードしています。下半期に関して、同社は10万台のEV生産を見込んでいます。

現状、EVセグメントは不採算事業ではあるものの、状況は2025年までに変わると見込まれます。そして将来、クルーズが軌道に乗った際には、記録的なリターンをもたらす可能性があります。足元のバリュエーションを踏まえると、ゼネラル・モーターズ株を買う絶好の好機であると言えるでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jennifer Saibilは記載されているどの企業の株式も保有していません。元記事の筆者Jeremy Bowmanはアマゾン・ドットコムの株式を保有しています。元記事の筆者John Ballardはアマゾン・ドットコムの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコムとバークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はゼネラル・モーターズとクラフト・ハインツの株式を推奨しており、下記のオプションを推奨しています。ゼネラル・モーターズの2025年1月満期の25ドルコールのロング。モトリーフールは情報開示方針を定めています。