モトリーフール米国本社 – 2026年1月27日 投稿記事より

小売最大のトレンドはディスカウント、年初来5銘柄すべてがS&P500を上回る

現在、米国の小売業界における最大のトレンドは、ディスカウント業態です。S&P500種指数で「生活必需品(小売り)― ディスカウントストア」に分類されているグループの2026年の年初来パフォーマンスを見ると、このグループに属する5銘柄すべてが、2026年のS&P500種指数を大幅に上回っていることが分かります。

S&P500は2026年の年初来で約1%上昇し、過去52週間では14%上昇しています。以下は、S&P500に含まれる5つのディスカウント小売株と、それぞれの年初来および過去52週間のパフォーマンスを示しています。

・ウォルマート[WMT]は年初来で5.8%上昇し、過去52週間では26.6%上昇しています。
・コストコ・ホールセール[COST]は年初来で13.7%上昇し、過去52週間では3%上昇しています。
・ターゲット[TGT]は年初来で10.1%上昇していますが、過去52週間では22%下落しています。
・ダラー・ゼネラル[DG]は年初来で9.9%上昇し、過去52週間では100%上昇しています。
・ダラー・ツリー[DLTR]は年初来で3.1%上昇し、過去52週間では72%上昇しています。

このように、これらの銘柄はいずれも2026年に入って好調であり、ターゲットとコストコを除けば、過去1年間でもS&P500を上回るパフォーマンスを示しています。

インフレ高止まりで拡大する節約志向、全所得層がディスカウントストアへ

これら小売企業の株価が上昇している背景には何があるのでしょうか?主な理由はインフレです。そして意外なことに、低所得層だけでなく高所得層の消費者も、インフレに対抗するためディスカウントストアに押し寄せているのです。

グローバルデータ・リテールによると2025年9月時点で、高所得層の米国人(年間世帯収入が約17万ドル以上と定義)の約28%がディスカウントチェーンで買い物をしており、これは4年前の約20%から増加しています。低所得層(世帯収入が5万6,500ドル未満)では、その割合は2021年の84%未満から、2025年には88%超へと上昇しました。また、中所得層(世帯収入が5万6,500ドル以上17万ドル未満)では、47.5%から59%超へと大きく増加しています。

その結果、2025年第4四半期の既存店売上高は、コストコでは前年同期比5.7%増、ウォルマートは4.2%増、ダラー・ツリーも4.2%増となりました。

米インフレ率は2.7%前後で高止まり、現状はディスインフレ

消費者物価指数(CPI)をみるとインフレ率は、2022年6月の約9%というピークから大幅に低下しています。しかし、インフレ率は2.7%前後で高止まりしており、これは連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回っています。

さらに重要なのは、インフレ率が低下しているからといって、物価が2022年以前の水準に戻るわけではないという点です。物価が元の水準に戻ることは「デフレ」に当たりますが、過去3年間に起きているのは、厳密には「ディスインフレ」、すなわち価格上昇率の鈍化に過ぎません。

つまり、現在の物価上昇ペースは近年より緩やかになっているものの、2022年当時と比べて依然として大幅に高い水準にあるということです。特に食料品価格は上昇しています。2025年12月時点で、2022年1月と比べて18.6%高くなっています。

このような上昇を考えれば、ウォルマート、コストコ、ダラー・ゼネラルといったチェーン店でより安い商品を求める消費者が増えているのも当然です。(また、「手頃な価格」という問題が、政治家が選挙で勝利するために利用するほど白熱した政治テーマとなっているのも驚くことではないでしょう。)

なお、物価高と雇用市場の減速により、消費者信頼感指数は低下しており、ミシガン大学消費者信頼感指数は、2026年1月時点で前年より21%低下しています。

インフレ継続が小売り銘柄に追い風になる可能性

ディスカウント小売株に関心を持つ投資家にとっての疑問は、消費者物価のトレンドが今後も続くのかという点です。

一部のエコノミストは、インフレが2026年中も高止まりすると予想しています。中には、インフレ率が上振れすると予想する人もいます。移民政策の変更に加え、トランプ米大統領の関税が輸入価格に与える遅行的な影響、そして金融緩和(一般的に物価を押し上げる傾向があります)により、2026年は再びインフレが高まる可能性があります。

いずれにせよ、実際に「デフレ」が起こらない限り、物価は下がりません。デフレは通常、景気後退によって引き起こされますが、現時点ではそのシナリオは考えにくい状況です。その一方で、ディスカウント小売業者とその株主は、物価上昇の恩恵を受け続けると考えられます。これは今、これらの株式への投資を検討する十分に妥当な理由と言えるでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matthew Benjaminは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、コストコ・ホールセール、ターゲット、ウォルマートの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。