モトリーフール米国本社 – 2026年1月3日 投稿記事より
これまではパランティア・テクノロジーズ[PLTR]が防衛テクノロジー分野で先行していた
米国では人工知能(AI)と防衛作戦が交わる領域では、大量のデータから有用なパターンや関係性を自動的に見つけ出すデータマイニングを専門とするパランティア・テクノロジーズ[PLTR]が支配的な存在となっていました。
ビッグベア.ai[BBAI]や シースリー・エーアイ(C3.ai)[AI]といった小規模でニッチな企業も、防衛テクノロジー分野で一定の実績はありました。しかし、これまでは、主要な公的部門の契約では、最終的にパランティアの名前が挙がるケースが多かったのです。
米国防総省がアルファベット[GOOGL]と大規模な防衛関連契約を締結
しかし2025年12月初旬、米国防総省はホワイトハウスの「AI行動計画」の一環として、GenAI.mil プラットフォームの創設を発表しました。注目すべき点は、米国防総省がこの取り組みを主導する企業としてグーグルの親会社アルファベット[GOOGL]を指名したことです。
パランティアと国防総省がすでに深い関係を築いてきたことを考えると、別の巨大テクノロジー企業がこれほど重要な契約を獲得したことは想定外だったかもしれません。ここでは、この新たな契約の詳細を掘り下げ、アルファベットがパランティアに対して重大な打撃を与えたのかどうかを検証します。
ホワイトハウスの「AI行動計画」:GenAI.mil とは
2025年3月、ピート・ヘグセス国防長官は、「ソフトウェア・アクイジション(調達)パスウェイ(SWP)」と呼ばれる枠組みを復活させると発表しました。これは、米国防総省が特定の任務や対応に向けてソフトウェアをより迅速に調達・導入するための基盤となるものです。
トランプ政権が技術的リーダーシップを重要な目標として掲げていることを踏まえると、GenAI.mil の創設や、米国防総省全体でソフトウェアシステムの拡充が進むのは驚くことではありません。このプログラムの中核を担っているのがグーグルのAIシステムである「ジェミニ」です。
GenAI.milプラットフォームを通じて、政府職員は一連の生成AIツールへのアクセスが可能になります。これには自然言語での対話機能や、エージェント型ワークフローなどが含まれます。
アルファベットはこのプログラムにふさわしいのか
公的部門向けのテクノロジー・サービスという観点で、これまでは、アルファベットの名前が真っ先に挙がることはありませんでした。米国防総省との契約では、航空・防衛大手のボーイング[BA]、ロッキード・マーチン[LMT]、RTX[RTX]、ノースロップ・グラマン[NOC]、L3ハリス・テクノロジーズ[LHX]、そしてパランティア・テクノロジーズといった企業が選定されるのが一般的だったのです。
とはいえ、2025年12月初旬の発表がアルファベットにとって初めての政府契約の打診ではありません。2018年に同社は「プロジェクト・メイブン」を主導する企業に選ばれました。これは軍事作戦全体にわたって機械学習とデータ分析を加速的に導入する公的プロジェクトでした。しかし、当時アルファベットの一部の従業員が国防総省との協力に異議を唱えて抗議活動を行った結果、アルファベットは契約更新を見送りました。
その後、プロジェクト・メイブンはパランティアが引き継ぎました。同プロジェクトでパランティアは、次世代防衛システムのスタートアップ企業アンドゥリルをはじめ、アマゾン・ドットコム[AMZN]のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフト[MSFT]などの大手クラウドインフラ企業とも協業しています。
米国防総省は既にアルファベットの技術力を一定程度把握しており、さらにグーグルがAI分野で存在感を高めていることを踏まえると、GenAI.milの契約にジェミニが選ばれたとしても、それほど驚くことではないでしょう。
GenAI.milにおいて、アルファベットのジェミニがより適したソリューションと判断された理由
パランティアは長年にわたり、米政府契約案件から恩恵を受けてきました。同社の一連のAIツール、「ファウンドリー」、「ゴッサム」、「アポロ」は米国の防衛分野におけるミッションに不可欠なサービスの基盤を支えてきた確かな実績があります。
より理解が必要なのは、なぜGenAI.milにおいて、グーグルがより適したソリューションと判断されたのか、という点です。
パランティアは、さまざまなプラットフォームに散在している構造化処理されていないデータを統合し、「オントロジー」と呼ばれる形態で統一されたワークフローを構築することを専門としています。これは、意思決定者が複雑で雑多な情報をより直感的に理解し、リアルタイムのデータを用いたシミュレーションを行うことができる高度な可視化の技術です。言い換えれば、パランティアは極めて特殊なデータを大量に扱う用途に強みを持つ企業だと言えます。
一方、アルファベットのジェミニ・プラットフォームは、まったく異なる価値を提案しています。ジェミニは、より広範かつ汎用的な作業向けに設計されており、生成AIによって業務効率を大幅に高めることを目的としています。
こうした背景を踏まえると、パランティアのAIプラットフォームは米国防総省において、アルファベットのジェミニ・エコシステムと共存することが十分に可能だと考えられます。この点からみても、GenAI.milの取り組みでアルファベットの契約獲得が、パランティアにとって大きな打撃になるとは考えにくいでしょう。
むしろ、今回の取引は注目に値すると思われます。投資家にとって重要なのは、米政府がAI投資を一段と強化し、高機能サービスを提供する複数の企業に予算を分配させていることが示されたという点です。こうした理由から、防衛テクノロジーへの投資機会を考える上では、パランティアに加えてアルファベットも対象として注目しておく価値があるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adam Spataccoはアルファベット、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト、パランティア・テクノロジーズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、ボーイング、L3ハリス・テクノロジーズ、マイクロソフト、パランティア・テクノロジーズ、RTXの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はシースリー・エーアイおよびロッキード・マーティンを推奨し、次のようなオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格395ドル)のロング、マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格405ドル)のショート。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
