先週金曜日のNY株式市場は続伸し、ダウ平均は700ドル超の大幅高を演じた。これを受けて日本時間3日早朝の夜間取引で日経平均先物は420円高となり3万1970円で引けた。取引時間中には一時3万2000円を上回る場面もあった。週明けの東京市場で日経平均はいよいよ3万2000円の大台を試す場面もありそうだが、問題はその後だ。目標達成感から、さすがにそろそろ調整を入れて然るべきだと思われる。しかし、これまでのところ、そうした思惑はすべて外れ、「押し目待ちに押し目なし」を地で行く展開が続いてきた。

調整して然るべきとの根拠は一本調子の上昇によるテクニカル的な過熱感だが、実はそれも思い込みで、たいして過熱感が強まっているわけではない。先週末時点で25日移動平均からの乖離率は日経平均でも5%に達していない。TOPIXに至っては3%程度である。これは騰落レシオを見ると納得できる。東証プライム市場の騰落レシオ(25日平均)は102.2%とほぼニュートラル。つまり、半導体など一部の銘柄への集中物色で上げてきた相場であり、全面高となっていないため、相場全体の過熱感は乏しいのである。

加えて需給面の要因がある。日本株相場が33年ぶり高値ということは、戻り待ちの売りがほとんど出てこないということだ。33年前の玉を抱いているような投資家はほぼいない。33年前の90年は、年が明けると前年末の高値からつるべ落としのように下落し続け、もみ合いもなかったことからこの価格帯は「真空地帯」である。よって売りは、直近下値で買った投資家の利益確定売りに限定されるが、下値で買えているのは外国人投資家のみで、短期利食い売り志向の強い個人は逆にここまで7週連続で売り越しに回っている。利益確定売りどころか踏み上げられて買い戻しを迫られる状況だ。こうしたことが「押し目待ちに押し目なし」になっている背景ではないかと思う。

そうは言っても、いつかは相場の潮目が変わるものだ。週末には株価指数先物・オプション6月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)を控える。6月月末は四半期末に当たり、機関投資家のリバランスも大規模に行われるだろう。それに先立って、SQが転機となるか要警戒である。

今週の経済指標は海外では米国のISM非製造業景気指数(5日)、中国の貿易収支(7日)が注目される。今週は国内のほうが、注目指標が多い。6日に家計調査と毎月勤労統計調査、7日に景気動向指数、8日に1-3月期国内総生産(GDP)確報値と景気ウォッチャー調査が発表される。GDP改定値は上方修正が予想されている。街角景気も悪くないだろう。国内景気の堅調さが確認されれば、景気減速感が強まる欧米との比較優位でさらなる日本株市場への資金流入も期待できるだろう。

予想レンジは3万1300円~3万2500円とする。