米ドル/円 日足

週間予想レンジ:134.00~137.50

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・円売り本流はなお継続
・勢いは一旦緩和も当然の成り行き
・上昇ウェッジ形成中

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週再度高値更新し、一旦136.72円をトライした。ただし、大引けは135.17円まで反落し、週足では「スパイクハイ」のサインを示し、ロング筋の利益確定が先行された模様だ。とはいえ、先々週の切り返しで、週足では「スパイクロー」の罫線をもって続伸の様子を示したわけで、先週の続伸も当然の結果であり、またモメンタムの一旦緩和も高値トライ後の調整として当然とみており、必要以上の解釈は不要である。

言い換えれば、先週の続伸は、先々週の足型を踏襲する形となったわけで、先々週の延長としての位置付けが重要である。先々週は米大幅利上げだけではなく、「スイスショック」も通過することで、かえってトレンドの蓋然性を証明しただけに、先週の高値再更新があってもなお途中の公算が大きい。

米大幅利上げの継続やスイス国立銀行の大幅利上げがもたらした思惑が、マーケットのコンセンサスに織り込まれたかどうかは別として、日銀の政策維持が確認されたことがもっとも重要であり、米ドル/円の高値再更新自体が円安本流の証拠となったことで、本格的な頭打ちのサインなしでは円安の限界を安易に測定すべきではない。

「スイスショック」があったからこそ、相場の内部構造を一段と確認できたと言える。131円半ばの支持ゾーンが4月末、5月初頭の高値ゾーンと合致するだけに、「スイスショック」がもたらした波乱があっても内部構造の「規律正しさ」が維持され、ブルトレンドの蓋然性をより鮮明化させたわけだ。

日足では、5月15日の緯線自体が「弱気リバーサル」のサインとなり、本来一段と深い押しをもたらす存在であってもおかしくなかったが、6月17日の大幅切り返しで早期高値更新の可能性が示唆され、6月22日高値までの続伸を当然の結果とみている。同日高値から反落してきたものの、6月17日の大陽線が否定されない限り、基本的な強気構造は不変である。

このような調整パターンが6月15日、16日と同様、日柄において限定されるなら、今週続伸しやすいだろう。その一方、米長期金利の上昇モメンタムがこのまま維持されるかどうかはやや不透明であり、米ドル全体のパフォーマンスと相まって、一旦モメンタムの低下も想定される。

もっとも、米5月の消費者物価指数(CPI)の40年ぶりの高い数字がリリースされた後、マーケットはパニック的な米ドル買いに走っていた。米大幅利上げがこれからも続き、また場合によってはもう1回、あるいは3回連続で0.75%の利上げもあり得るといった観測が根強い中、ハイバーインフレ自体が米ドルの価値を毀損する懸念も高まっている。米ドル高基調の維持自体は問題ないものの、いままでのモメンタムを維持できるかどうかを再検討する必要がある。

このような見方に基づき、5月末からの上昇波は、次第に「上昇ウェッジ」を形成していく可能性がある。目先としてはなお途中ではあるものの、高値再更新した後の上値余地は、一旦限定される公算が大きい。ただし、円安本流の修正が容易ではないため、あくまで順張りのスタンスを維持していきたい。

再度強調することになるが、相場の内部構造に鑑み、いわゆる値ごろ感による逆張りが個人投資家の行動パターンとして定着しているため、円売りを加速する存在として無視できない。円安が大分進行してきた上、136円台の高値トライもあって、クライマックス的な段階にあるといった判断につながりやすい。

しかし、クライマックス的な上昇段階においてからこそ、逆張り筋が往々にして踏み上げられ、「買われ過ぎ」でもさらなる買われ過ぎをもたらす傾向にある。136円台の打診があったからこそ、さらに140円関門を迫る、といった可能性も大きいため、トレンドを逆張りする行動はしばらく禁物である。今週の高値更新は、137円台に留まる可能性があるものの、米ドル高/円安の本流の一段延長を強化するだろう。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:92.50~96.50

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・保ち合いも底堅い
・調整延長も容認へ
・豪ドル高をけん引

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週小幅変動し、陽線で大引けしたところ、基調を証拠付けた。先々週はやや反落し、一旦92円関門割れがあった。しかし、単純に速度調整との位置付けは変わらず、同足型が示す「スパイクロー」のサインも軽視すべきではなかったため、先週の値動きを同じ位置付けでフォローしていきたい。

6月8日までの続伸は、一旦高値更新してから反落し、同週の週足では「スパイクハイ」のサインを点灯していた。この意味合いにおいて、先週までの値幅限定は、スピード調整の一貫と見る場合、むしろ底堅い構造を再度証明した。

なにしろ、6月に入ってからの大幅続伸は、上放れの構造を再度確認した上で、高値再更新を確実視していたため、想定通りの展開と言える。豪ドル対円の優位性が健在であるため、上放れ自体を当然な成り行きとみなし、この意味では、より長いスパンにおいて、これからもブルトレンドを維持できるため、目先の速度調整は、これからのトレンドをより健全化させるという側面をより重視したい。

米ドル/円の続伸、また高値連続更新を背景とした豪ドル/円の続伸自体、当然の成り行きではあるものの、これは米ドル/円次第の側面が大きいことも否定できなかった。そのため、米ドル/円は米連邦公開市場委員会(FOMC)前に、すでに高値再更新が確認され、FOMCCや「スイスショック」の試練を経て、先週から引き続き高値再更新するなら、豪ドル/円の頭打ちも当然予測できない。


さらに、米大幅利上げ、また連続利上げの想定がすでに圧倒的な市場コンセンサスと化していたからこそ、米ドルの優位性は当面変わらない。その分、豪州の事情(豪州の利上げ継続も想定される)が無視される形で豪ドル対米ドルの反落が確認されてきたが、米ドル全面高の勢いがやや低下してきたところで、豪ドルの優位性が再度みられるのではないかと考えている。

5月後半から連騰したため、6月8日の96.90円からの反落は、スピード調整として「正当化」できる側面もある。保ち合いの先行があれば、むしろこれからの上昇波を健全化させるため、先々週の深押しは、想定よりさらに下値打診があったものの、基本的な要素は変わらず、メイン基調への変化もないだろう。その証拠として、日足では、6月16日の罫線を中心に「Ioi」を形成し、先週一旦上放れを果たしたため、強気変動の構造を再度証明した。その後再度反落してきたものの、6月16日安値の割り込みさえ回避できれば、基本的な見方は不変である。

一方、高値更新後の反落は、往々にしてモメンタムの低下を意味し、米ドル/円における「円売りパニック」の雰囲気と相まって観察すればわかるように、豪ドルすら主円の「出尽くし」感を払拭しきれないかもしれない。先週のモメンタムと同様、目先としては限定される可能性がある。

さらに、米ドル/円自体が節目にかかり、また値動き次第で大きく変化するタイミングにあるため、高値更新があれば、上値を追うかどうかは流動的である。言ってみれば、上昇モメンタムの強化を有力視するが、吹き値の出現があれば、逆に冷静なスタンスをもって接したい。

仮に米ドル/円の137円台の打診があれば、豪ドル/円の早期高値再打診も確実視される。ただし、米ドル/円の上昇は米ドル高の側面をより反映してきた分、米ドル/円の高値再更新に豪ドル/円などクロス円が付いて来ない局面もありえる。その反面、豪ドル/米ドル次第では、米ドル/円の高値更新なしでは豪ドル/円の高値トライもあり、といった局面も想定しておきたい。いずれにせよ、強気基調の維持自体は問題視されないが、モメンタムの問題として注意しておきたい。