米ドル/円 

週間予想レンジ:105.00~107.00

メインストラテジー:押し目買い

・モメンタム強まる
・段階的な切り返し
・米ドル全体と連動

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続伸した。一時106.22円をトライし、2020年6月高値を起点とした全下落幅のうち、半分の戻しを果たした。先々週の反落自体を途中のスピード調整と見なした分、先週の再上昇を当然な成り行きと受け止め、一段と上値余地を拡大するであろう。

一方、先週後半には反落し、週足では「スパイクハイ」のサインが形成された疑いもある。しかし、先々週の陰線を切り返し、また再度高値を更新しただけに、年初来の切り返しの継続を示唆した。よって、目先サインの拡大解釈を避けたい。

それは他ならぬ、年初の底打ちのサインが重要であった上、目先なおそれが効いていると思われるからだ。同週の足型、典型的な「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した上に、2020年3月高値から形成されてきた「下落ウェッジ」の下限を一旦トライし、その後反騰したことで底打ちを示し、また同フォーメーションの上限(元抵抗ライン)の上放れをもたらしたため、切り返し自体の正当化および長期化につながる。

この意味合いにおいても、先々週の反落があったからこそ、先週の高値更新がより健全化され、先週後半の反落も高値圏における保ち合いの一環として位置づける。すなわち、年初来の切り返しが継続される公算が高く、105円関門前後が新たな支持ゾーンとなれば、メイントレンドとしての米ドルの回復がなお途中の公算である。

もっとも、先週の高値再更新自体がこの前の「ダマシ」の証左や結果であった。日足における1月14~19日に形成された「インサイド」のサインについては、1月20日に一旦下放れしたものの、継続的な下値打診が回避され、「ダマシ」であったことを証左し、また強化していた。そして、一転して強気サインと効いてきたので、その効き目がなお有効だと思う。

すなわち、2020年11月高値のブレイクをもって前記「ダマシ」を証左した上、同年3月高値から継続されてきた米ドル安の流れを転換させる土台が固められ、米ドルの一段高につながりやすく、切り返しの構造自体がしっかりしている。

繰り返し指摘してきたように、2020年3月高値からの下落が、大型「下落ウェッジ」のフォーメーションを形成してきただけに、2020年11月高値の打診自体も同上放れを証左するサインとなり、中期スパンでは、紆余曲折でも2020年6月高値への前値戻しが想定される。

既述のように、年初安値(102.58円)を「ヘッド」とみなし、2020年11月安値(103.17円)と1月21日安値(103.32円)を「ショルダーズ」とみる場合は、大型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」(逆三尊)の成立が確認され、同フォーメーションの存在を引き続き有力視する。先週の高値更新自体が新たな上昇の段階入りを示唆しており、2020年8月高値(107円関門手前)までのトライをメインシナリオとして念頭においてきただけに、目先切り返しの過熱感はない。

米ドル全体との連動性から見ても、先週後半の反落を理解できる。というのが、米ドル全体の切り返しが見られるなか、主要外貨のうち円が一番弱い存在で、円は米ドル高の受け皿として重要な役割を果たしてきた。先週ドル指数弱含み、米ドル/円の反落があっても連動性の一環と見なした場合、円の弱さは変わらない。

ゆえに、豪ドル/円、ポンド/円など主要クロス円の上昇が加速してきたのも、円売りの一環と位置付け、総合的、また受動的な円安の流れがしばらく変わらないとみる。押し目買いのスタンスを維持したい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:82.50~85.50

メインストラテジー:高値追い

・モメンタム再加速
・高値追いの展開
・新たな段階へ突入

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円は先週大幅続伸した。83.15円の打診をもって2018年年末高値84.04円に迫る勢いをみせた。実際、同高値の更新はもはや時間の問題であり、更新があれば、新たな段階入りを果たす。そうなると一段と高値を追いやすくなり、また上昇モメンタムの再加速が想定される。

我々のメインシナリオが再度証左され、基本的な見方や見通しは全く変わらない。繰り返し指摘してきたように、2020年3月安値を起点とし、また同年11月から加速させてきた豪ドル/円の強気変動には大した変化はなく、調整らしい調整的な値動きもなかった。そのため、強いトレンドとして認定され、先週の高値再更新があってもなお途中と見て、更なるモメンタムの強化や上昇スピードの強まりが予想される。

もっとも、スピード調整がなかったわけでもない。すなわち、スピード調整があったからこそ、先週までの値動きがより健全化されたわけだ。年初来たちまち高値を再更新し、週足においてほぼ「10連陽」となり、1月末まで一旦79.19円のトライをもって調整を果たしたことも既述の通りである。高値圏での保ち合い自体も再上昇の土台作りの一環という位置づけができる。

ゆえに、一旦上昇が再開されると、ますますモメンタムの強化が見られるのも自然の成り行きである。前回コラムで指摘した通り、押し目待ちに押し目ない、といったリスクのほうが大きい。実際、心理大台の80円関門を大幅上回る状況において、同関門への再打診が当面見られないかと思う。

強気変動の土台は、2020年12月第3週の足型が重要なヒントを示唆していた。同週にて一時77.48円まで調整したものの、再度78.63円で大引けし、典型的な「スパイクロー」のサインを点灯させた。年初から1月末までの保ち合いもあって、連続した高値更新は同サインの効き目を証左し、また更なる高値追いにつながる公算である。

というのは、直近のサインとして1月28日の「スパイクロー」も効いており、その後の高値更新をもって事実上の「フォールス・ブレイクアウト」のサインとなった。直近のサインが途中の強気構造を示した分、より長いスパンにおける強気構造の証左となる公算が大きい。前記週足におけるサインと総合的に見ればわかるように、2018年年末高値のブレイクが確実視され、また新たな上昇段階入りを果たす公算である。

先週の大幅続伸もあって、2018年12月高値84.04円まで大した抵抗ゾーンがないことが一段と確認できる。比較的に順調なトライが想定、同高値ブレイがあれば、新たな上昇段階入りも確認でき、一段と上値を追う環境になろう。

もっとも、2020年3月安値を「ヘッド」と見なした大型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」というフォーメーションの成立も先週の続伸によって証左され、より長いスパンにおけるメイントレンドの確立に繋がっている。85~86円といった上値余地に照準を合わせ、しばらくトレンドをフォローすることに徹したい。